新型コロナの本当の感染率と有効な対策について、みえてきたこと

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集団免疫ができるには、人口の60~70%が免疫を持たなければならないということだとされる。JAMAで発表されたもう一つの論文は、スペインと米国で推定される10%の感染率では、それを大幅に下回ることになると指摘している。

重視すべき対策とは


これらの論文に示される調査結果によれば、新型コロナウイルスの有病率には都市間だけでなく、一都市の内部においてもばらつきがある。おそらく驚くべきことではないが、それは一つの都市のなかでも地域によって、平均所得や住民が従事する職業の違いがあるためだと考えられる。

社会的不平等と新型コロナウイルスへの感染リスクの程度については、すでにいくつかのデータが発表されており、所得水準が低いほど感染率が高いことが分かっている。それは、低収入のサービス業に従事する人は多くの場合、高収入の人たちには避けることが可能なリスクを冒し、働き続けなければならないためだ。

このパンデミック(世界的な大流行)を食い止めるためには、こうした低所得の人たちの間における感染拡大の抑制に一層力を入れる必要がある。当初は感染を抑え込むことに成功していたシンガポールでは、外国人労働者が暮らしていた寮での対策を怠った結果、感染する居住者が急増。国全体に感染が広がった。

コミュニティーに新型コロナウイルスが存在する限り、あらゆる人に感染のリスクがある。実際にどれだけの感染者数がいるかにかかわらず、感染すれば最も深刻な打撃を受ける低所得層や周縁化された人たちを対象に、対策を強化することが重要だ。

編集=木内涼子

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