Roは今回の調達でユニコーン企業の仲間入りを果たした。
パンデミック後に医療機関の多くが予約無しの対面診療を停止した一方で、遠隔診断の需要は高まっている。調査企業Forrester Researchは今年の世界の遠隔医療サービスの予約件数が10億件を突破すると予想しており、Frost & Sullivanはこの分野の需要が米国のみで64%増加すると見込んでいる。
RoのシリーズCラウンドには既存出資元のFirstMark CapitalやTorch、SignalFire、TQ Ventures、Initialized Capital、3L、BoxGroupらが参加し、新規でThe Chernin Groupも出資を行った。2017年創業の同社は累計3億7600万ドル(約395億円)を調達している。
Roは米国で3つのデジタルクリニックを運営しており、男性向けクリニックの「Roman」、女性向けクリニックの「Rory」、禁煙治療の「Zero」がある。Roはこれらの3つのクリニックで性的健康や肥満、皮膚疾患、アレルギーを含む20の症状の治療にあたっている。
さらに今年4月にはオンライン薬局の「Ro Pharmacy」を立ち上げ、顧客の症状に合致する500以上のジェネリック薬品の提供を開始した。Ro Pharmacyは、1薬品を月額5ドルで提供中だ。
患者らはRoのプラットフォーム経由で、Care Teamと呼ばれる米国の医師やナースたちの診断が受けられる。診断は保険の適用外だが、費用は一般的なクリニックよりも安価に抑えられている。フォーブスの取材にRoは今年、2億5000万ドルの売上を見込んでいると回答した。
RoのCEOで共同創業者のザッカライア・レイタノによると、彼を含む3人の共同創業者らはいずれも、家族の医療ケアで課題に直面した経験を持ち、同じ思いをした人々を助けたいという思いから同社を立ち上げたという。
レイタノは今回調達した資金を設備の増強に注ぎ、遠隔地からの患者のモニタリングや緊急対応、在宅診断などの仕組みを整備していくと話した。Roは現在、70人から100人規模のエンジニアチームを含む250人を雇用しており、新規の採用も強化するという。
現在29歳のレイタノは、今年のフォーブスの30アンダー30の遠隔医療分野に選出されていた。彼はさらに、1500万ドル以上の資金を調達した30歳未満の起業家を選出するBig Money リストにも選ばれていた。
米国の医療費は2018年に3.6兆ドルに達しており、一人あたりの年間支出額は1万1172ドルとされている。