旅行は今や「ローカル」の時代
米民泊大手エアビーアンドビーのブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は、「旅は新型コロナウイルス以前の姿には二度と戻らないだろう」とし、未来の旅はローカルや親密さといった要素が大きく増し、観光業で現在中心となっている大都市から離れた小さなコミュニティーに移行すると予想している。
エアビーアンドビーの発表によると、同社サービスの利用状況は国内旅行では回復しているものの、海外旅行では今も低迷しているようだ。チェスキーは、人々が飛行機を利用していないと指摘。一方で、航空機利用が今後復活したとしても、旅の目的地は変わるだろうと述べている。
エアビーアンドビーは、未来の旅では目的地が分散し、人が少ないと感じられる場所が選ばれるようになると予想している。
旅は「孤立主義」に
新型コロナウイルスのパンデミックが起きる前、旅行分野のトレンドは「体験」にあった。人里離れた場所に住む先住民を尋ねたり、料理教室に参加したり、実際に人々が住んでいるような家に泊まって地元の人のように過ごしたりするような旅だ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、パンデミック前にアウトドアで週2回以上時間を過ごしていた米国人は20%未満だった。だが今では、例えば米バーモント州では釣りに必要な許可証の発行数が50%増加し、全米で大人向け自転車の売り上げが121%増加した。
今、人々の注目は、人が少ない場所(国立公園など)を見つけることや、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)ができるツアー(1人1隻のボートを使ったツアーや、自分とラマ1匹だけで自然の中をトレッキングするツアーなど)に集まっている。
テンター(Tentrr)やキャンプスペース(Campspace)、ヒップキャンプ(Hipcamp)などの企業は、キャンプやキャンプの豪華版である「グランピング」を楽しみたい人とキャンプ場所有者とを直接つなげ、アクセスが難しい田舎のスポットを紹介している。