ライフスタイル

2020.08.02 16:00

着る人を引き立てる、「一生モノ」のアクリスのスーツ


小暮:現在、アクリスのクリエイティブディレクターを務める3代目、アルベルト・クリームラーは「まず、一片の生地を手にすることからクリエーションは始まります」と述べています。アクリスの故郷、サンガレンの街は古くからテキスタイル産業が盛んでアクリスは熟練の職人たちが集まる素材メーカーと協力し、最新のテクノロジーで独自の素材を開発しています。

森岡:女性のブランドで、素材をそこまで真正面から謳うことは意外とないと思います。それに仕立ても立体的でとても洗練されています。まさに女性をエンパワーメント(=引き立てる)してくれる服であり、ブランドだと思います。

小暮:着る人を引き立ててくれるから、世界中のセレブリティからも愛用されているのですね。アンジェリーナ・ジョリーやリース・ウィザースプーンなどのハリウッドセレブや、ミシェル・オバマ元大統領夫人、欧州中央銀行総裁のクリスティーヌ・ラガルド、米下院議員のナンシー・ペロシなどの有名人がワードローブに選んでいます。

森岡:彼女らの着る服はこれみよがしではいけない。「あれを着ているな」と思われてもだめです。品が絶対に必要なのです。ファッションではなく、スタイルをつくらないといけない。

小暮:そう思うと、素材や仕立てのよさだけでなく、コンセプトも紳士ブランドに近いのかもしれませんね。

森岡:シンプルで、上質で、品がある。着る人のキャラクターを邪魔しないどころか、アップさせてくれる。

小暮:この服にしても佇まいが本当に凛としている。よく紳士服でクラシックな一級品を一生モノと呼びますが、そんなテイストを感じるブランドではないでしょうか。


森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure | fashion direction by Hiroshi Morioka | edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN 6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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