米GDPは「33%減少」したのか? 統計の正しい読み方

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米国の2020年第2四半期国内総生産(GDP)は、年率換算で過去最悪の約33%減を記録した。だがこの数字は文字通り捉えるべきではない。以下に、この統計のより良い読み方を説明する。

33%という衝撃的な数字は、米経済の縮小ペースが年間を通じて変わらないとの前提に基づいたもの。米国では経済活動が部分的に再開しており、第2四半期にほぼ全米で起きたロックダウン(都市封鎖)が再び行われる可能性は低いため、この前提が現実になるとは考えられない。

第1四半期から第2四半期のGDP減少率は9.5%で、やはり厳しい数字ではあるものの、ここ数カ月の経済状況を示すものとしては年率換算よりもはるかに正確だ。

米商務省によると、GDP減少の背景には、個人消費、輸出、州政府・地方自治体の支出などの減少があった。一方、CARES法(コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法)による連邦政府支出の増加が経済への打撃緩和に寄与。また、貯蓄額を可処分所得で割った家計貯蓄率は前期の9.5%から25.7%に上昇した。

ドナルド・トランプ米大統領は30日朝、統計発表の直後にツイッターで行った投稿で、11月に予定されている大統領選の延期を提案した。郵便投票による不正の懸念(その根拠は示していない)を理由としているが、一部の観測筋は、都合の悪いGDP統計から人々の注意をそらす狙いがあった可能性を指摘している。

翻訳・編集=遠藤宗生

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