採用パンフレットを「求職者の疑問や先入観を払拭するツール」にするための考え方

1. ビジョン、ミッション

事業を通じてどんな社会をつくりたいのか、そのために社会に対して何を提供するのか、といったことがビジョンやミッションだ。企業理念と呼ばれている場合もある。 特に昨今は、これらの存在は非常に重要だ。

SDGsに代表されるように、社会や環境を持続可能なものにするために、企業は目先の利益だけでなく、より高い視座でビジネスを通じた社会貢献をすることが求められている。それができていない企業は批判にさらされたり、従業員満足度の低下や離職につながったりする。

ビジョン、ミッションの宣言(と自社内での浸透)はそうした事態を避けることに加えて、「この会社ではたらく意義」を求職者に伝える際にも有効にはたらく。

2. 企業情報(沿革、拠点、社員数など)

求職者に自社のことを理解してもらうためには、思想だけでなくその実態を伝えることも重要だ。それがこの企業情報にあたる。

たとえば沿革や拠点、社員数など、どのように企業活動を行っているかを伝える項目があると良いだろう。このほかにも、売上高の推移や主要顧客なども自社理解を促す情報になる。

3. 事業・サービス紹介

企業情報と同じく、展開する事業・サービスの紹介も自社の実態を伝えるために欠かせない項目だ。

特に、ビジョンやミッションと事業を1つの文脈として、関連性をもたせながら語ることができると、求職者にとって納得感が増し、良い印象を与えられるだろう。

複数の事業を展開している場合は、各事業の関連性や、主要な事業が何かなど、自社の姿をできるだけ忠実に伝えることが求職者からの理解につながる。

4. 募集要項

「どんな人材を求めているのか」という問いへの答えとして、求職者に期待している人物像やスキルに関する情報と、条件面に関する情報も必要だ。

条件面については、採用する職種や職階ごとに給与や法定休日・勤務時間や残業代の有無、勤務地など、求人媒体などで出している項目に準ずる形で良いだろう。あわせて、採用で重要視している方針や、募集の背景を語れると理想的だ。

こうした情報を網羅していれば、ビジョンや事業内容で興味が高まったタイミングで応募への行動喚起ができる。

5. 社員インタビュー、福利厚生

「入社したらどのように働けるか」という疑問に答えるコンテンツとして、職種別の「先輩社員の声」や働き方に関する情報も忘れずに盛り込んでおきたい。

2019年4月から施行され始めている働き方改革の影響もあり、企業選びのポイントとして「ワークライフバランス」を重要視する声も高まっている。給与や成長機会と同じように、プライベートな時間を確保できるかどうかも、入社前に求職者が確認したい事項だ。

特に、福利厚生などで独自の制度を設けている企業は良いアピール材料になるので、ぜひパンフレットにも載せると良いだろう。

企業のブランディングや採用活動に役立つ情報を配信中
次ページ > 採用パンフレットの戦略的役割

文=小野祐紀

ForbesBrandVoice

人気記事