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映画監督の紀里谷和明

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、社会全体が音を立てて劇的に変化していっている。クリエイターも、作品づくりをするための環境や資金など、より厳しい状況になった。そうした中、ミュージックビデオからハリウッド映画まで、長年にわたり未開の領域で挑戦を続け、インターナショナルに実績を残してきた紀里谷和明が新たな挑戦を表明した。

長年、企画構想を温めてきた映像作品『新世界』という長編作品を世の中に届ける構想の第一歩として、応援購入サイト「Makuake(マクアケ)」で、パイロット映像(約90秒)の制作を行うための応援サポーターの募集を開始した。

「もしこの試みが成功すると、もっと自由な創作の環境が出来上がると確信しています」と語る、紀里谷。新型コロナによって多大な影響を受けたエンタメ業界に、紀里谷はどんな新しい世界を描こうとしているのか。胸中を語ってもらった。

『新世界』誕生の背景にあった、日本映画界の課題


「新世界」はそもそも、10年以上前に書き上げた脚本です。何度か映画化の話もあり、企画を進めていましたが、私が他の映画に携わるなど、なかなかタイミングが合わず、結局は映像化が実現しなかった作品です。

ただ、ここ十数年の間で映像制作、映画業界も大きく変革を起こしています。2004年に『CASSHERN(キャシャーン)』を制作した頃から比べると、考えられないほど変化している。

その変化の最大の要因が、劇場だけではなくストリーミング(配信)が始まってしまったことです。最たる例が、Netflixです。Netflixから始まって、AmazonやAppleなど、数々のストリーミングの会社が参入してきました。その結果、ありとあらゆる人たちが、劇場を通さずに、直接みなさんに作品を届ける構造が出来上がってしまったわけです。

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新作『新世界』の作品イメージ

それに準じて、人が劇場にあまり行かなくなる問題が発生しました。かといって、劇場の売り上げ自体は下がってない。日本もそうですが、映画業界自体の売り上げは下がってなくて、上がってはいるんです。ただ、何が起きているのかというと、膨大な予算をかけた有名作品は、すごくヒットしますが、一方で小さいアート作品などが苦しい状況になっています。

構成=池田鉄平

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