マイクロソフトのスティーブ・バルマー前CEOが1年前、NBAのロサンゼルス・クリッパーズを、史上最高額の20億ドル(約2兆4,000億円)で買収して以来、プロスポーツチームの資産価値の向上に期待が高まっていた。だがそれは、もはや見込み違いに終わったようだ。
ロシアの億万長者ミハイル・プロホロフに聞くといい。彼はブルックリン・ネッツとバークレー・センターを30億ドルで売却しようとしているが、いまのところ手応えはない。棚上げ状態になっているアトランタ・ホークスの売却話では、ブルース・リーベンソンは、少なくとも10億ドルは手に入れると見られていたが、最も高い値付けは8億ドルだった。
「バルマー・バブル」は、スポーツ界全体で弾けてしまったようだ。シカゴ・カブスの株の一部の所有権に示された評価額は、過去最高の18億ドルだった。しかし、それは売上高の6倍程度のもので、バルマーが払った倍率の半分にも及ばなかった。
シルビオ・ベルルスコーニは、経営が苦しいイタリアのサッカーチームACミランを10億ドルで売却するという幻想を抱いているが、叶わぬ夢に終わりそうだ。
しかし、誤解しないでほしい。プロスポーツチームの資産価値はこれまで3~4倍程度の見積もりだったのが、4~6倍あたりまで高騰している。放送権料や不動産価格の上昇などによる、収益構造の改善は全てのプロスポーツビジネスに恩恵をもたらした。
しかし、「バルマー・バブル」ほどの好況は、もはや過去のものである。