アーティスト「Chim↑Pom」 結成当初からの社会的役割とは

《LOVE IS OVER》2014 Photo: Kishin Shinoyama Courtesy of the artist, ANOMALY, MUJIN-TO Production and hiromiyoshii roppongi



《ERIGERO》2005 ビデオ(5’ 59")Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production
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お酒を一気飲みする時の「一気コール」ってありますよね。それに倣って、エリイがピンクの液体を飲みながら、僕ら男子5人とコールを煽り合い、それに呼応し合いながらエリイが液体を飲んでは吐くのを何度も繰り返すパフォーマンスをしたんです。

──それが2005年、最初の作品なんですね。フェミニストや活動家からも注目されそうな内容ですよね。

会田誠さんがそれに感動し、当時彼が参加していたバウハウスのキュレーターが企画した東京藝術大学の美術館での展覧会に推したんです。
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その展覧会のテーマが「ピンク」だったからなんですが、《ERIGERO》を見たキュレーターが反フェミニスト的だと激怒したんです。

──視覚的には、女の子が無理やり虐待的な行為をさせられていて、それを周囲の男性が挑発しているように見えますよね。映像では男性の姿は見えず、声だけが聞こえるので、それがさらに圧迫感や心理的な雰囲気を醸し出しています。

そのキュレーターにはそう見えたのでしょうが、僕はそれは一面的な見方だと思いました。

なぜなら、それは当時のエリイの日常や東京の文化をベースにしながらも、彼女と僕たちのかけ合いがお互いにトランスを生んでこその作品だったからです。

エリイは「被害者」としてそのパフォーマンスをしていたのではなく、実際に現場をリードする立場でもあった。僕ら5人がその逆になる瞬間もあった。

だから、そのキュレーターが自動的に「男対女」という見方をするのはあまりに短絡的だと思いました。

──エリイが選んだ行動なのであれば、周囲にいた男性たちは「悪者」として見られるべきではないですよね。

僕たちはフェミニズムをテーマにした作品作りをするつもりはなかったのですが、まあでもそのキュレーターの意見を知れたことは、結果的に僕たちの視点や、アートへのアプローチの仕方を広げることにはなりました。

どうすれば新しいアイデアを求め続け、それを体現し、異なる視点を持つ人たちに論点を与えることができるのかという問いに向かい合うことができたと思っています。

──その他に、身体を使った作品はありますか?

「こっくりさん」を呼び出して、メンバーの背中にスピリチュアルなメッセージのタトゥーを入れたことがあります。

あと、極度な断食をして、ミイラのようになるまで自らの身体を彫刻化するパフォーマンスもしましたね。
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取材・文=ユリ・ユリーカ・ヤスダ 構成=守屋美佳

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