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2020.08.07

5年後には軽く10兆円超。爆伸の中国データセンター投資

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人工知能(AI)およびビッグデータ、5G、クラウド、ブロックチェーンなど先端技術への国家的注力を表明している中国で、データを扱うデータセンターへの投資も急速に増加していくとの見通しが発表された。

中国・前瞻(ぜんしょう)産業研究院などの統計によると、2019年までに中国で建設されたデータセンターの数は約7万4000箇所にのぼる。これは世界全体のデータセンターのうち23%を占める数であり、主に北京、上海、広州、深センなど一線都市に集中している。稼働しているサーバーの数は、およそ130万台と推定されている。地域別に代表的なデータセンター企業としては、GDS(蘇州)、SINNET(北京)、Dr. Peng(深セン)などがある。中国のデータセンター増加に伴い、アジア太平洋のデータセンター市場は、2018年比で12.3%増加と明確な成長性をみせている。



中国国内のデータセンターへの投資市場規模をみると、2017年2769億元(約4兆2500億円)、2018年に3257億元(約5兆4400億円)、2019年3698億元(約5兆6700億円)と順調に増加している。2019年は前年比で13.5%増加しており、これは世界の増加率7.1%の倍近くを記録している。中国のデータセンターへの投資額は増加を続け、2025年には7000億元(約10兆7400億円)を超えると予想されている。

データセンター市場の成長の裏には、中国国内で膨張を続けるデータ量の存在がある。中国のデータ規模は、2020年に64ゼタバイト、2022年に128ゼタバイト、2024年に512ゼタバイトと増え続け、2030年頃には4096ゼタバイトにまで達する見込みだ。2030年時点のデータ量は、世界のデータ総量の30%を占めることになるだろうと予測するレポートもある。

中国では膨大な電気消費を減らすための「持続可能なデータセンター」の在り方も課題になるとされている。また、データセンターの地域的不均衡も大きな課題だ。現在、データトラフィックの確保が必要な金融、IT、ECなどの主要企業が主に1〜2線大都市に密集しており、不均衡はしばらく続くとされている。一方、地価が比較的安価で、電力使用量が少ない中西部地域にデータセンターの建設が拡大するとの予想も増え始めた。

AIをはじめ先端技術産業の覇権を宣言している中国だが、インフラ面でも米国をはじめとする競争国を引き離すことになるのか。今後の動向に注目したい。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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