しかし現在、ドミノ・ピザは、新たな競争相手を視野に入れているのかもしれない。それは、ピザに似たものさえ、何ひとつメニューに載せていない相手だ。
ドミノ・ピザとウイングストップ(Wingstop)が、コロナ危機のなかで最も成功している二大企業であることは、疑いの余地がない。両社の好調の理由は、消費者が店外から手軽に料理を注文できるようにするデジタル面の実力にある。米国内における外出禁止令と安全に対する根強い懸念のさなかでは、そうした能力には大きな意味がある。
興味深いことに、7月16日におこなわれたドミノ・ピザの第2四半期決算発表では、同社の新たなチキンウイングにかなりの時間が割かれた。ドミノのリッチ・アリソン(Ritch Allison)最高経営責任者(CEO)は会見の席で、同社のチキンウイングは「大幅に改良された」と述べた。
ドミノ・ピザがチキンウイングを重視しているのには、いくつかの理由がある。第一に、チキンウイングが成長カテゴリーであるからだ。全米鶏肉協議会(National Chicken Council)の推計によれば、2020年のチキンウイング消費量は、前年の5%増に加えて、さらに2%増加するという。2019年には、米国のチキンウイング消費量はほぼ10億人前にのぼった。
さらに、骨付きの鶏肉は保温力が高いため、デリバリーに適している。新型コロナウイルスが生んだ「店外限定」の世界では、それは途方もなく大きな利点になる。
アリソンCEOは会見で、「ここ数年にわたるデリバリーの活況を通じて当社が実践してきたのは、消費者がデリバリーでオーダーしたがる商品カテゴリーに目を向けるように努めることだ」と語った。「チキンウイングがそのひとつであることは間違いない」