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「僕らとして大事にしたいポイントは2つあります。1つ目が、参加者の実利を追求すること。当日参加して『勉強になりました』だけでは本質的な価値を提供したことになりません。投資が決まったり、業務提携が決まったり、そういった数を僕らのKPIとしてウォッチしていきます。

2つ目が、経営者層の最大化。先ほどもお話ししたように、IVSは若手起業家を中心にスタートアップのエコシステム活性化を目指します。そのため、彼ら自身がIVS運営に関わるなど、積極的に参加できる構図にしていきたい。そこで、IVSが信頼する投資家や参加者による選考を通過した若手起業家を対象に、無料招待枠を確保しています」(島川)

完全オンライン開催によって、今回のIVSのセッション数は60、250名以上のスピーカーや1000名の参加者を招くなど、過去最大規模のカンファレンスが実現した。とは言え、対面で話すことの良さもある。これまでのIVSは、限られた参加者が密にやりとりできることを魅力としてきたが、オンライン開催ではその差分をどう埋めるかは気になるところだ。

「オフライン・オンラインの差分は、案外すぐに埋まるんじゃないかと思っていたりします。というのも、今までは、登壇者はステージの上、参加者はその下で見ている構図でした。だから、話しかけにくい。そのため、今回は質問をチャット形式にするほか、登壇者がOKしたら質問者が直接話せるような仕組みも取り入れています。

さらに、最大のポイントとなるコミュニティ形成では、参加者限定のオンライングループを作成。カンファレンス後は、グループ限定の小規模イベントなどを継続的に開催。その点では、オフラインより満足度が高くなるはずです」(島川)

こうしたスタートアップ関連のカンファレンスで議論のポイントとなるのが、女性起業家・投資家の参加数だ。

「海外のスタートアップ向けカンファレンスでは、登壇者の半分が女性です。ですが、日本は半分以下どころの話じゃない。そこは、強い問題意識があります。一方で『女性だから』というだけで取り上げるのも、本質的ではありません。そのバランスを見つつ、IVSとしてもコミュニティづくりなど取り組んでいきたいと考えています」(島川)

「若手起業家」だけの小さな村にしてはいけない




新生IVSが運営方針の中心に置く「若手起業家」。これによって、どういったスタートアップエコシステムを目指しているのだろうか?

「彼らには、勢いがある。そこをさらに活気づけ、サポートする人を集めれば、スタートアップのエコシステムがよりヘルシーになる気がしています」(島川)

「しかし、これこそがIVSにおける難題」と、溝口が話を続ける。

「一番難しいのは、若手起業家をどう巻き込んでいくか。彼らの多くが失うものもなく、勢いがある。だからこそ生まれる自由で柔軟な発想を、誰もが聞きたいと思っていることは事実です。

一方で、彼らは若いがゆえに“未熟”でもある。そのため、『どうやって巻き込むか』はしっかり考えなければならない。ただ『若手起業家』として小さな村にするのではなく、その輪を広げてもらうための仕掛けは、ちゃんと準備しておきたいところです」(溝口)

これには、島川も深く同意する。

「IVS2020に参加して終わりではなく、その後もIVSのコミュニティに関わることで、継続的に彼らがビジネスを進める上で必要とする人達とつながることができるように準備します。それによって交流が生まれたり、スタートアップが加速したりするようなことを、これからもどんどん設計していきたいですね」(島川)

文=福岡夏樹 写真=小田駿一

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