Living With Flowers Every Day

日本が世界に誇る花 リシアンサス

コロナ禍の自粛期間を経て、「花のある生活」が広がっているのを感じています。前回のコラムで書いたように、フラワーベース(花瓶)の需要は未だ高いままを維持しています。

SNSを通じて、友人や著名人が花のある暮らしを始めた様子をみて、連鎖的に「同じ花瓶ありますか?」と来店される方がいたり、「シンプルなものは持っているので、陶器で作られた色付きの花瓶を買いにきました」など、ファッションのコーディネートをするように、追加で求める方も出てきています。

花のトレンドと花職人


ところで、実は、花にもファッションと同様に流行があり、その時その時で仕立てが変化していることはご存知でしょうか? 赤いバラ一つも30種類並べば、一つ一つ花弁や開き方、色合いが異なり、「これは少し前に流行ったよね」とか「絶妙な色と質感が今年にぴったりだよね!」とか、トレンドの品種というものがあります。女性でいうと、紅いルージュ。色も質感もシーズンによって異なる、そんな感じです。

その違いは、生産者さんが花を育てる過程の「仕立て」によっても生まれますが、それ以前、花には“育種家”と呼ばれるブリーダーが存在します。彼らが、「今求められている花形・花色はどんなものか」を見極めて、その花が咲くように種を作っていく。想像を超える時間と作業を経て、素晴らしい花の品種が誕生すると、世界中から注目されます。

この世界でその名を知らしめたのが、秋田県のダリアの育種家である鷲澤幸治さん。それまではいわゆる仏花で親しまれていたダリアを、美しい芸術のように創造し、あらゆる品種を生み出し、いまでは鷲澤さんのダリアが世界各国で育てらるほどの大変革を起こしました。代表作の「黒蝶」は、魅惑的な漆黒が印象的で、ファッション誌や広告に使われるなど、不動の人気を誇っています。


漆黒のダリア 黒蝶

もう一人、育種家の巨匠と呼ばれ、世界的に名が知れている日本人が中曽根健さんです。中曽根さんが生み出したリシアンサスの「コサージュ」シリーズは、花のオリンピックといわれる“フロリアード”では、最高の賞を受賞しました。


リシアンサスの「コサージュ」シリーズ

しかし、日本の花は”世界的に価値が高い存在である”ということは、業界外の人にはほとんど知られていません。正直なところ、私たち自身も、パリやロンドンに店を出すまでは、日本の花屋が魅力的で、こんなに評価を受ける存在でいられると自覚していませんでした。

文=井上英明

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