ビジネス

2020.08.11

50回以上「採用に落ちた」私が、米アマゾン本社でMVPを獲得するまで

米Amazon本社 シニアベンダーマネージャー 竹崎孝二


50回以上、アマゾンから不採用に


……と、このように経歴を書くと、まるで「才能豊かな成功者」のように見えるかもしれませんが、全くそのようなことはなく、これらはあくまでキャリアの一面にすぎません。

実際は失敗やしくじりの連続で、サマーインターンは300社以上落ちていますし、アマゾン本社の採用試験も50回以上受けています。通算5回の倒産・解雇も経験しました。

非ネイティブなので英語に対するコンプレックスが強く、アメリカでマネージャーとして働く今も、複数人がオープンに議論するミーティングでは、正直20%くらいしか会議内容を理解できていません。

それでも今、2012年に立ち止まって考えた「ありたい自分」に近づけているという気がしています。

もちろん、今なお試行錯誤を繰り返している最中ですが、自分の気持ちに正直に、誠実に、とにかく目の前のことに全力で向き合ってきた結果、振り向けばいくつもの点と点が線になって今に繋がっていることに気がつきました。

当初は、旅行が好きで世界中の人と仲良くなれたら楽しいだろうな、という漠然とした海外志向だったものが、アメリカで失敗を繰り返すなかで、日本人の強みを発揮して世界に通用するリーダーになりたい、成功事例を自分が切り拓いていきたい、という思いへと視座が上がり、それが少しずつ実現しているという実感があるのです。

もし、あなたが海外への挑戦に20回失敗したなら、50回面接に落ちた私を目指して、あと30回挑戦するのも良いでしょう。実際、想像を絶する事態が日常的に発生する海外でのチャレンジには、ポジティブマインドが不可欠です。

ただ、努力する方向性は見極めなければいけません。そのためには、相手を知ること。やり直しの余地がある2way-doorの選択なのかを見極めること。そして、たとえ1回でうまくいかなくても、フィードバックをもらって改善を続けるという姿勢が大切です。

日本人の強みこそが武器になる


私はこれまで、失敗も含めていろいろなことを経験してきました。

もし過去に戻れるなら、昔の自分に伝えたいことが山ほどあります。でも、もちろん戻ることはできません。

だから、これから新しいことにチャレンジしたい方や海外で活躍したい方、グローバル展開を前提にしている日本企業に向けて、このコラムで私の経験や失敗をシェアすることにしました。

今、アマゾン本社で働きながら、改めてアメリカのビジネスの根本的な違い、レベルの高さを感じています。悔しいですが、日本とは次元が違うというのが正直なところです。

しかし、そのなかでも、私は今年6月に年間MVPを獲得することができ、日本人・日本企業も海外に通用する、むしろアフターコロナにおいては日本人の強みこそ武器になる、というたしかな手応えを感じています。

これは日本に閉じこもっていたのでは決して掴めない、海外に視野を広げ、世界の潮流のなかにおける日本を意識し、行動に移した者だけが享受できる恩恵ではないでしょうか。


Follow your Heart ─日本人が世界で勝つ方法─

今日から始まるこのコラムでは、日本人・日本企業が海外へ目を向け、可能性を世界に拡げる一助になればという思いで、私がアメリカで働きながら感じる気づきや経験、非ネイティブが海外で活躍するためのコミュニケーション術、働き方や文化の日米比較などを、アマゾン本社があるシアトルからお届けしていきます。

※ 本コラムは、個人的見解であり、いかなる所属組織とも無関係です。

文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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