経済・社会

2020.07.28 11:00

TikTokは「中国のスパイアプリ」と主張するセキュリティ専門家

Photo by Hakan Nural/Anadolu Agency via Getty Images


関連するIPアドレスの37.7%が中国国内


「TikTokのユーザーは、十分気を付ける必要がある。個人データの疑わしい利用や中国政府による監視があった場合には、特に注意が必要だ」と同レポートは警鐘を鳴らす。
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ProtonMailは、セキュリティ企業「Penetrum」が年初に発表した白書を引用し、次のように述べている。「TikTokに関連したIPアドレスの37.7%が中国国内のもので、大量のデータ収集やコードの脆弱性など、ユーザーを不安にさせる要素が多い」

これに対し、TikTokは次のように反論している。「アメリカの何百万もの家庭がTikTokをエンターテイメントや創造的な表現の方法として利用している。当社は、ユーザーのプライバシーを保護し、安全なアプリ体験を提供することを最優先に取り組んでいる。米国支社は拡大を続けており、年初から従業員数は3倍に増加している」

だが、ProtonMailのレポートは次のように結論付けている。
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「TikTokの親会社である中国企業は、中国共産党との関係を強化すると明確に述べており、TikTokによる大量のデータ収集は大いに懸念される。中国政府は、これまで国内のテック企業にデータの共有を強要し、国民への脅迫や検閲などの人権侵害を行ってきた。セキュリティとプライバシー保護の観点から、TikTokは非常に危険なソーシャルメディア・プラットフォームだと言える。同社が未成年や子供を含む数億人分のデータを収集していることは、重大なプライバシーリスクだ。ユーザーは、アプリの利用に当たっては十分に気を付け、心配であればTikTokアプリや関連データを消去することを強く推奨する」

親会社はTikTokの売却を検討か


TikTokは、セキュリティ論争や米中対立を巡る混乱の真っ只中にあり、日を追うごとに米政府による制裁が現実味を帯びている。米政府に呼応する形で、他国でもタカ派議員たちがTikTok批判を強めている。親会社のバイトダンスは、つい最近までソーシャルメディアの王者ともてはやされていたが、最近ではTikTokの売却を検討していると報じられている。

米国やその同盟国は、証拠を得ないままTikTokに対して制裁や禁止措置に踏み切る可能性がある。米国やその同盟国にとって中国は仮想敵国であり、中国政府がTikTokユーザーのデータを取得している疑いがあるというだけで十分な口実となるのだ。そして、その可能性は、ますます高まっている。

編集=上田裕資

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