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2020.07.28

米国で検査器具の情報共有レジストリ設立 流行地の把握図る目的

MARCO BELLO/Anadolu Agency via Getty Images

診断検査メーカーの世界大手各社は米国における新型コロナウイルス流行地域をより正確に予測するため、新型コロナウイルス感染症の診断検査と検査用器具のレジストリ(記録簿)を国レベルで導入する。これにより、適切な場所と適切な時間に適切な量の検査が供給できるようになる。

この取り組みは、米国の医療器具事業者団体の先進医療技術工業会(AdvaMed)と13の加盟企業の提携によるものだ。参加企業は、米国内で既に1日に80万以上の検査を出荷しており、パンデミック(世界的大流行)が始まって以降は新型コロナウイルス感染症の検査のため6500万以上の検査器具を製造してきた。

レジストリを活用することで、企業や米政府、州政府の間でのデータ共有やコミュニケーションの合理化が実現でき、検査器具の報告手法を標準化できる。レジストリは、全ての新型コロナウイルス感染症検査の利用可能性を高め、検査器具の不足が迅速に解消されるよう、「研究所やその他の公衆衛生関連機関の協力を促す」ために設計されている。

AdvaMedのスコット・ウィットテーカー社長兼最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「危機の真っただ中で決断を下す上で指針として役立つのは、全体図を示すデータだ」と述べた。レジストリは、米国の各州や州の保健局、保健福祉省やその他の連邦機関が「入手可能な検査に関する全体像」を理解できるように設計されている、とウィットテーカーは述べた。

取り組みが開始された現在、流行地域であるアリゾナ州やテキサス州、フロリダ州など米国全土の州では、新型コロナウイルス感染症の検査に苦戦している。米国では、検査を受けるだけでも数時間列に並ぶ必要があり、結果が出るまでには数日~1週間以上かかると報じられている。

レジストリは、分子や抗原、抗体検査などさまざまな検査に関する州・国レベルの最新情報を毎週提供する予定。AdvaMedの一部門であるAdvaMedDxのエグゼクティブディレクター、スーザン・バンミーターによると、参加企業は米国で出荷されている検査用器具の95%を占めている。

米国市場では、新型コロナウイルス感染症の有無を見極める検査の大半は現時点では分子検査だが、関係者は各州で経済の再開やこの秋からの学校・大学の再開が続く中、抗体検査がより広く使われるようになると考えている。

ウィスクテーカーは発表の中で「米国の医療・経済を回復させる上では、必要な人を全員検査するための十分な検査器具を用意することが絶対に欠かせない。それと同様に重要なのは、こうした検査器具がどこにあるかを理解し、最も必要とされる場所に配置することだ」と述べた。

「国と州の当局が患者と医療従事者の両方の健康を守り、米経済の再開へと動く中で、この全国版レジストリは当局にとって重要なツールとなるだろう」

翻訳・編集=出田静

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