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米国ではここへきて新型コロナウイルスの感染者数が再び増えてきたことで、住宅市場の急回復も遠のいた可能性がある。住宅用不動産の評価を手がける米ハウスカナリーが最新のリポートでそんな分析結果を示した。需要が弱含んでいる兆候がすでに表れているとのことだ。

「いま起きている新型コロナウイルスの感染再拡大は、V字回復を難しくしそうだ」。ハウスカナリーのジェレミー・シックリック最高経営責任者(CEO)は端的にそう述べ、今年7月が「ターニングポイント」になりそうだとみる。

公的な記録や200におよぶ物件情報サービス(MLS)を分析した同社の市場リポートによると、7月第2週(12日まで)の住宅契約数は全米で前の週から15.3%減少した。住宅売却の成約数は4月に記録した底を引き続き上回っているものの、7月第2週には5月半ば以降で最低の水準に沈んでいる。

価格帯別にみると、売却希望価格が20万ドル(約2100万円)までの住宅の契約数は同週に前週比11.9%減っており、なかでも40万〜60万ドルの住宅が最大の落ち込み(18.1%減)を記録した。

住宅ローンに関するデータも同様の傾向を示している。米抵当銀行協会(MBA)の住宅ローン申請指数(季節調整済み)は、7月10日までの週に前週比6%低下した。住宅売買は数週間過熱していたとみられ、一部の都市では入札合戦も繰り広げられたが、ここへきて全米規模で住宅購入者が市場から退却しているもようだ。

シックリックによると、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため屋内退避措置がとられた結果、春夏の不動産購入シーズンが長引いている。しかし、感染者が急増している主要市場では軒並み物件契約数が落ち込んできている。

たとえば米国で新たな感染中心地となっているフロリダ州では、物件契約数が8.8%減少した。封鎖措置が再導入されることになったカリフォルニア州でも17.9%減っているほか、テキサス州の物件契約数も13%落ち込んでいる。

一方、7月10日終了週の新規物件掲載数は全米で前週比8.7%増えているとはいえ、増加率は5〜6月よりも低い。感染者の増加を前にして売り手側も市場から離れ出したとみられるが、今のところそのペースは売り手ほどは速くないようだ。

「需要の弱さが示されたのはこれが最初期のものとなる。一方で、供給はいくらか増えてきている」とシックリックは説明する。

住宅市場の軟化は、より大きな経済の動向と軌を一にしている公算が大きい。過去2カ月ほどの間には景気回復に向けて明るい兆しもみられていたが、感染の再拡大によって改善は帳消しにされてしまうおそれがある。大手銀行は景気後退(リセッション)の長期化に備えて、すでに貸し倒れ引当金を積み増している。

シックリックは「コロナ危機が長引いているために、経済に大きな亀裂が走ることになりそうだ。それは長期的に影響を及ぼすだろう」と予想する。ただ、自身としては、米議会や州政府の追加対策を注視しながら成り行きを見守る姿勢だという。

「どの住宅市場が問題に見舞われ、どの市場が浅い傷ですみそうかが焦点になるだろう」とシックリックは述べている。

編集=江戸伸禎

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