経済・社会

2020.07.28 07:00

【全文】オードリー・タン独占インタビュー「モチベーションは、楽しさの最適化」

台湾デジタル政策担当委員 オードリー・タン(Audrey Tang via flicker)

台湾デジタル政策担当委員 オードリー・タン(Audrey Tang via flicker)

6月29日に台湾デジタル担当政策委員、オードリー・タン(唐鳳)にオンライン・インタビューを行った。記事は、Forbes JAPAN No.73(7月25日発売号)の巻頭に掲載されている(オードリー・タンが語る「欠陥は、あなたが貢献するための招待状」)。

その記事中でも書いたように、彼女を取材するメディアは一律に、オフィスが定める「Radical Transparency(徹底的な透明性)」の原則に準じる必要があり、取材内容は、取材後ある一定期間を置いてサイトに公開される。また、撮影する場合はクリエイティブ・コモンズへのライセンス登録が推奨されるという。

市民に公務の内容をオープンにするのが主たる目的というが、オープン・ガバメントという彼女のデジタル大臣としての義務と、情報を世界で公平に共有するワールド・ワイド・ウェブの思想をそのまま公務で表現しているようなラディカルな実践に、とても興味を引かれた。

この取材を元に執筆した記事はすでに出版・公開されているが、ここでは、英語で行われた取材の全文の日本語書き起こしを公開したいと思う。故に、かなりの部分はすでに公開されている記事と重複していることはご容赦いただきたい。今後取材する記者の参考にしてもらえると嬉しいのはもちろん、メディア以外の(興味がある)人たちには、どのように記事がつくられているか、知ってもらう機会になると思う。


──今日はお時間をいただきましてありがとうございます。お会いできて光栄です。今回は、「台湾のデジタル民主主義とその希望」をテーマにお話をお伺いしたいと思っております。

まず、2014年の「ひまわり学生運動」(*1)から始めさせてください。オードリーさんが今行われていることのひとつのスタート地点なのではないでしょうか。実際に議会占拠の際は、どのようなことをされていたのですか?

はい。ひまわり学生運動の時、私は議会を占拠している人々が、中の状況をライブストリームできるようにインターネット接続環境を提供していました。議会占拠前も、私は外の道路にいて、自分の電話をインターネット接続のために使ってもらっていました。私の役割は、すべての人々に公正なコミュニケーションを提供するためのコミュニケーション・エキスパートでした。私だけではなく、g0v(*2)の人間が何百人もいて、コミュニケーションのための機材を提供していました。

(*1)ひまわり学生運動:2014年3月18日、当時の与党国民党が台湾、中国間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」を立法院の内政委員会で審議終了、本会議送付を強行した。これをきっかけに抗議する学生が立法院本会議場に突入。台湾史上初めて、市民によって議場が占拠された。3週間にわたる議会占拠の後、王金平立法院長の調停を引き出し、4月10日に議場を退去した。

(※2)g0v(ゴブゼロ):2012年、オードリー・タン旧知のチア・リャン・カオ(高嘉良)が中心となって「政府を『フォーキング』する」と提唱して創設されたオープンソース・コミュニティ。フォーキングとはプログラマーの間で使われる言葉で、本来のソフトウェアから枝分かれして別のものをつくるプロセスを指す。省庁の約1300すべてのプロジェクトの予算配分、研究計画、KPIがわかりやすく可視化され、同じ分野に興味がある人と話すことができる。
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編集=岩坪文子

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