米大統領選、事例から予測される株式市場の反応は?

Photo by Noam Galai/Getty Images

他のトピックに関するニュースが次から次へと押し寄せる現状では、米国の大統領選挙があと数カ月先に迫っていることを忘れてしまうのも不思議ではない。とはいえ、選挙が株式市場に与える影響については、驚くほど多数の研究が行われてきている。では、選挙が行われる11月に何が起きそうなのか、以下で考察してみよう。

何より重要なのは税に関する政策


現職のトランプ大統領と民主党のバイデン候補はどちらも多くの政策を掲げているが、2016年大統領選の分析を見る限り、市場が第一に注目するのは税に関する政策だ。2016年大統領選投票日の前後の時期に、どの株がどの程度の値動きを見せたかについての分析によると、株価を動かすカギとなる要因は税金だという。

これは当然ながら、納得できる結論だ。税制は、政治家の裁量範囲内にある主要な政策であり、しかも企業の価値評価に直接影響を与える。それは、減税が企業の収益を押し上げ、それにつれて株価も上昇するからだ。もちろん、エネルギーや医療といった特定のセクターに影響を与える他の政策も存在するが、2016年の事例が参考になるのであれば、株式市場に最も幅広い影響を及ぼすと考えられるのは、税に関する政策だ。

「大統領サイクル」も、株価に影響を与える要素になる


誰が大統領の職にあるかにかかわらず、市場には、より一般的な上下動の傾向として「大統領サイクル」が存在する。これは、大統領がその時、任期の何年目を迎えているかという要素に、株価の動きが影響を受けているように見える現象だ。このサイクルにおいて、株式相場は、大統領の4年の任期のうち最初の2年は下落しがちだが、残りの2年は持ち直す傾向にある。

これは、現職の大統領が再選をにらんで、経済の活性化を促す政策を実施するためとも考えられる。例を挙げると、現在、ホワイトハウスは新型コロナウイルスの感染拡大に端を発する景気後退への対策として給付金の交付に熱心だが、これも再選がかかる大統領がとりがちな政策の典型例ともみられる。

もちろん、これは市場に影響を与える要素の1つにすぎず、常に確実に当てはまるものでもない。それでも、誰が次の大統領になるかにかかわらず、2021年と2022年は、市場が弱含みになり得るとの見方を示唆するものではある。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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