今月、日本で発売開始になったばかりのT-ROCはアルテオン以来、最も格好良いフォルクスワーゲン車(以下VW)だと思う。ゴルフをベースにしているけど、外観はクリーンな曲線で、保守的で上品な雰囲気を出している。
デザイナーは決して外観には冒険しなかったと言えるものの、グリルとその左右に伸びるヘッドライトは存在感たっぷりのワイド感を表現している。僕が特に気に入った部分は、ターンシグナルを入れると、フロントの「デイタイム・ランニングライト」が点滅するところ。(上写真バンパー部)
ところが、ちょっとがっかりしたのは、フェイクというか、偽エキゾーストパイプだった。遠くから見ると、テールパイプに見えるけど、近くでチェックすると、パイプに穴が空いていなくて、その下に本当のエキゾーストが潜んでいる。最近、多くのカーメーカーがフェイク・エキゾーストを新車のスタイリングに加える傾向があるけど、あまり格好よくないので、ぜひ考え直して欲しいところだ。
ネーミングが傑作だ。VWジャパン社がT-ROCは、ポップなクロスオーバーで、「AlmighT-ROC」(オールマイティーロック)と面白く表現しているけど、僕は最初に乗った時、第一に思い出したのは、60年代に流行った名曲「ゲット・イット・オン」を歌った名ロックバンド「T-REX」だった。この曲は、T-ROCの雰囲気にぴったりだと感じた。そのメロディの知らない人はぜひYouTubeで聞いて欲しい。
T-ROCは全高がゴルフより高いし、パノラミックなサンルーフがあるにもかかわらず、どこに座ってもヘッドルームやレッグルームが十分とれる。また、後部席には、一応3人の大人が座れるけど、長距離だと少し窮屈かもしれない。
ところが、運転席に移ったら驚いた。VW車、特にゴルフはそのコンパクトなセグメントの中で室内の質感やデザインは優秀でクラスリーダーと言われているのに対して、なぜかT-ROCはそこまでリードしていない。