コロナ感染を避けるために郊外に転居? 慎重になるべき理由

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こうしたことが、それまで住んでいた地域で利用していたさまざまなサポート体制を手放し、新たな地域で暮らすということのストレスに加われば、引っ越しによって受ける影響は、さらに多くの面に及ぶに違いない。

たとえば、英医学誌「Lancet」に掲載された研究結果によれば、強固な社会的つながりを持たない人はより不安感が強く、孤独で、落ち込んだ気持ちでいることが多いという。

また、心理科学ジャーナル「Perspectives on Psychological Science」に掲載された研究結果は、社会的孤立と社会的つながりの欠如はそれぞれ、死亡リスクを29%、32%高める恐れがあると指摘している。

郊外に住むことで悪影響を受けるのは、メンタルヘルスの面だけではない。いくつかの研究によれば、身体的な健康にも悪影響が及ぶとされている。2004年に発表されたある研究結果では、大都市の周辺に広がる地域の住民には、体重過多または肥満の人の割合が高いことが示された。

同じ年に発表された別の研究では、郊外のコミュニティーに住む人は、都市部に住民より高血圧や関節炎、頭痛、呼吸困難といった慢性的な問題を抱えている人が多いことがわかった。年齢や経済状況、人種、地域の環境など、結果に影響を及ぼすと考えられる要因を考慮した場合も、この傾向は同じだったという。

郊外の静かで落ち着いた地区にある3ベッドルームの一戸建てに引っ越そうかと考えていた人も、手付金を払う前にもう一度、よく考えてみたほうがいいかもしれない──その引っ越しには、本当にそれだけの価値があるだろうか?

編集=木内涼子

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