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新型コロナウイルスの感染拡大は、特に米国の大都市に多大な影響を及ぼしている。そのため、郊外への転居を検討する人が増加しており、一部の報道によれば、米国人の3分の1以上がより人口の少ない地域への引っ越しを考えているという(ただし、この割合は調査によってばらつきがある)。

また、これは米国だけでなく、カナダや英国でもみられる傾向だとされている。だが、こうした考えは長期的にみて、私たちにとって賢明なことなのだろうか──?

まず、引っ越すという大変なプロセスがある。英国の住宅所有者2000人を対象に不動産会社ヨパ・プロパティが昨年実施した調査によると、ライフイベントのなかで最も神経がすり減るのは引っ越しだったと答えた人は、40%。離婚や出産、転職と答えた人より高い割合となっていた。

また、英国の子供1万4775人を対象に数年にわたって実施され、2017年に発表された追跡調査の結果によれば、引っ越しは子供たちのメンタルヘルスに有害な影響を与える可能性があるという。

それだけではない。問題は引っ越した先でも起こり得る。人間は生まれつき、人との交流を必要とするものだ。だが、郊外では新型コロナウイルスの感染拡大がなくても、交流を持つのが非常に難しい場合がある。

引っ越してきたばかりの人にとっても、3~4年そこに住んでいる人にとっても、問題に大差はない。郊外の住宅地は本質的に、住人たちを孤立させるように設計されている。

ニュースメディア「Vox」の寄稿でデービッド・ロバーツが書いているとおり、「郊外の住宅地は子供たちのためではなく、車のためにつくられている。だから子供たちは家にこもってXboxで遊び、家族も車でどこかへ出掛けるとき以外、外に出ようとしないのだ」。

また、複数の調査結果で示されているのは、誰かと友人同士になるためのカギを握るのは“自然発生的な接触”の繰り返しであり、年を取るほどその傾向がみられるようになるという。だが、住んでいる場所にかかわらず、友人との付き合いを保つことはそれ自体が、年を取るごとに難しくなる。そのことを忘れてはならない。

編集=木内涼子

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