官民学とデータの力を生かせ!グローバルヘルス版「メディアラボ」構想

(左から2番目)「GLOBAL HEALTH INNOVATION LAB」構想を動かす石井佑充

合言葉は「Hack the World」。みんなで世界を能動的に書き換えよう。

ビジョンに共感し、人の思いが集い、さらに広がりを見せる。7月24日、そんな新しい動きを体現しているプロジェクトがはじまる。

それがETIC.、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、NHKエンタープライズがZ世代と協働しながら「ウィズコロナの世界をよりよい世界にHack=書き換えよう」とするプロジェクト「Hack the World」だ。そのオンライン開会式が、東京五輪の開会式が行われるはずだった7月24日に開かれる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使を務めるMIYAVIをメインパーソナリティに招き、自らの意思で世界を書き換えようと行動する「Vision Hacker」たちとトークセッションを行う。

フォーブス ジャパンは、7月22日発売のForbes JAPAN 8・9月号でプロジェクト概要、ウェブサイトにて開会式に登壇する4つの取り組みの詳細について紹介する。その最後は、一般社団法人LIAISONの共同創設者で、東京医科歯科大学Global Health Promotion分野MD-PhD2年の石井佑充が構想している「GLOBAL HEALTH INNOVATION LAB」の取り組みだ。


官民学とデータの力で、日本からグローバルヘルスの課題への誓約とそのソリューションを。そして同時にグローバルヘルスリーダーを創出することを目指そうとしているのが「GLOBAL HEALTH INNOVATION LAB」。その構想の実現に向けて、動いているのが、一般社団法人LIAISONの共同創設者で、東京医科歯科大学Global Health Promotion分野MD-PhD2年の石井佑充だ。

「『極度の貧困を撲滅し、日本を元気にする』がミッションです。これに向け、低リソース環境下で多種多様な人材や多セクターと連携して、すべての人が医療にアクセスできるような世界の実現に向け、技術の応用や斬新な解決策の創出を目指す『メディアラボ』を作りたいんです」(石井)

彼が構想する同ラボは主に、3つの機能を重視しているという。一つは、シンクタンク機能や著名人ブートキャンプなどの「アドボカシー(政府提言やキャンペーン、広報活動)」。ふたつめは、研究やものづくりなどの「イノベーション」。最後が「次世代教育」だ。同ラボの活動の一環として、インタビューシリーズ「Seeking Equity(公平性の追求)」を開始し、グローバルヘルスで活躍されている世界的な有識者を招いている。直近では、世界保健機関(WHO)のニダ・アリと、パキスタンの現状や感染症対策をテーマに対談した。また、石井はそれだけでなく、ネパールでの医療システム強化に向けて、実証実験を行う準備もしている。

「コロナ禍で医療の変化は1.5年先以上を想定できないという人もいます。だからこそ、多セクターとの連携が重要になるし、実装できる人材も必要になる。そのためのラボになればいいなと思っています」(石井)
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文=山本智之 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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