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2020.07.23 20:00

専門家が指摘、新型コロナウイルスで家族を失った人に心のケアを

Photo by John Moore / by Getty Images


ケスラーはさらにこう続ける。「米国では、新型コロナウイルス感染症で14万人近くの人が亡くなっている。この数は、過去6カ月間で飛行機1000機以上が墜落した状況に相当する。1000機が墜落した世界を想像できるだろうか。遺族の悲しみは、誰の目にも触れないままだ。悲しみを抱いた人々が孤立する状況になっているのだ」
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実際に大切な人を失って個人的に深い悲しみに直面しない限り、テレビで死者数を目にすることに慣れてしまうかもしれない。しかし、ケスラーはこう言う。

「家族をたったひとり亡くしただけで、世界はがらりと変わってしまう」

ケスラーはこれまで、大切な人と死別して喪失感や悲しみを抱く人と直接対面して話を聞いたり、グリーフカウンセリングの指導を行なったりしてきたが、パンデミックが始まってからは、フェイスブックで、オンライン支援を行う無料のプライベートグループを新たに立ち上げた。グループ名は「Grief:Releasing Pain, Remembering Love & Finding Meaning(深い悲しみ:苦悩を和らげ、愛を忘れず、意義を見出すためのグループ)」だ。初日の参加者は1000人だったが、いまではその数が2万人を超えている。
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「新型コロナウイルス感染症で家族に先立たれて悲しむ人たちは、強い怒りを抱いていると思う」とケスラー。「ある女性は激しい怒りを抱いていた。高齢者福祉施設に入所していた母親が新型コロナウイルス感染症で亡くなったのに、世の中はそれを真剣に受け止めてくれないのが理由だ。怒りが悲しみの一部分であることを、私たちはまず受け入れなくてはならない」

「私は、グラウンド・ゼロ(同時多発テロの現場)に足を運んだことがあるし、飛行機墜落事故にも携わったことがある。2017年にハリケーンで大規模洪水が発生した際には、テキサス州ヒューストンにも行った」とケスラーは述べる。「どこに行っても、必ず人が集まっていたし、コミュニティを形成して、互いに支え合うことができた。そうしたコミュニティが存在していない状況は、これまで一度も見たことがない。非常時でなくとも、悲しみは孤独なものだ。しかし、いまは究極の孤独だ。パンデミックが終息したら、深刻化した悲しみ、複雑に絡み合った悲しみ、多くのトラウマを数多く目にすることになるだろう」

「私たちはみな、この苦しみを切り抜けて、生きる意義を見出していかなくてはならない。亡くなった人の死を無駄にしてはいけない」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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