コロナ拡大と景気悪化で米若年成人の多くが住宅購入を延期

Westend61 / by Getty Images

米国が直面する国家的な危機により、住宅の購入を見合わせる人が大幅に増加している。個人向け金融情報サイト、バンクレート・ドット・コムが行った調査によれば、購入を先送りした人の約62%が6カ月以上の延期を決めており、さらにその20%が、「無期限に延期した」と答えている。

バンクレート・ドット・コムの上級アナリスト、マーク・ハムリックは、住宅購入はほとんどの人にとって、人生で最も高い買い物の一つだと指摘。その上で、さまざまな立場の人が家計における非常に重要な決断と行動を先送りしているのは、明らかに景気後退のためだと説明している。

「私たちの調査でわかったのは、家計に関係する何らかの決断を延期したという人の9%が、住宅の購入を先延ばしにしているということです」「…同時に、住宅ローン金利が記録的な低水準になっていることから、“鉄は熱いうちに打て”と考えている人たちもいることは明らかです」

主に若年層に影響


調査結果によれば、人生における大きな決断を延期した人の割合は、年齢が若い人たちの間でより高くなっている。失業によって苦しんでいるのは、主に若年層だ。

Z世代(18~23歳)とミレニアル世代(24~39歳)で大きな決断を先送りした人の割合は、52%。年上の世代(40歳以上)では26%となっている。住宅購入を延期した人の割合は、18~39歳の14%、40歳以上の5%となっている。

米国では今年6月20日までの1週間の新規失業保険申請数が、150万件近くにのぼった。ハムリックは、「景気の悪化に伴って打撃を受けるのは、多くの場合は若者であり、その多くが社会に出たばかりの人たちです」と語る。

「彼らが景気後退によって失う収入とキャリアチャンスを取り戻すにためには、何年もの時間がかかります」「景気後退が、所得の格差と富の不平等をさらに拡大させるのは間違いありません」

住宅を購入する可能性がある人のうち、多くは物件探しをすぐには再開しないとみられている。調査結果によれば、約10%は6カ月~1年、31%は1年以上、先送りする予定だと回答している。

ハムリックは、これはミレニアル世代の多くにとって、住宅所有が当面かなえられない“アメリカン・ドリーム”になったことを意味すると指摘する。

「富が奪われただけではなく、夢が遠ざけられた、または壊されたということです」「景気後退は、住宅購入、結婚、子供を持つこと、車の購入、再び教育を受けることなど、個人の生活の広範にわたるさまざまなことに極めて劇的な影響を及ぼしています」

「それは、非常に胸が痛むことだというだけではありません。経済にも広範にわたる影響が及びます」「ウイルスの感染拡大は、人生や暮らしに打撃を与えています。そしてその影響は、健康問題とは別の側面にも広がっています」

編集=木内涼子

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事