消費者庁によると、世界の食料廃棄量は年間13億トンにも上り、日本でもまだ食べられるのに廃棄される食品ロスは年間646万トンにも及ぶ。同じように、1度も袖を通されることなく廃棄される洋服は、年間10億着もあるという。「FOOD TEXTILE」は、このように同様の問題を抱える業界を結び、新たな価値を創造することを目指して誕生したプロジェクトだ。現在では、国内15社の食品企業や農園と提携しており、サステナブルな仕組みの構築を進めている。
廃棄される食材の多くは、形が不揃いな場合やカット野菜の切れ端などが多く、肌に触れても安全な食品だ。植物に含まれる成分を抽出する独自の染料化技術で、優しい雰囲気の色を作り出した。また、全ての生地には「染料堅牢度」と呼ばれる色の丈夫さを測る試験をクリアしているため、洗っても色落ちせず長持ちする。
中川政七商店やTHE ALLEYともコラボ
「FOOD TEXTILE」は、オリジナル商品以外にも多様なコラボ商品を発表している。6月末には、日本の工芸技術を生かした麻織物で知られる中川政七商店とコラボした「花ふきん」を発売。梅の実やブルーベリー、小松菜や赤かぶなどを用いた染料で、それぞれの野菜が描かれたとても可愛らしいデザインだ。中川政七商店の店舗またはオンラインストアで販売中。
野菜から抽出された染料の色合いと可愛らしいデザインでキッチンを彩る
「FOOD TEXTILE」が手がけるのは、アパレル商品だけではない。
台湾発の有名タピオカ店、THE ALLEYの原宿店が先月オープンし、店舗スタッフの制服となるエプロンを製作した。原料には、THE ALLEYで人気の茶葉“ロイヤルNO.9”の出がらしを使い、キャラメル色のエプロンとクリーム色のカットソーを染め上げた。ポケットのデザインなどには使いやすいよう工夫が凝らしてあり、THE ALLEYオリジナルのエプロンだ。
THE ALLEYは様々な種類のミルクティーが楽しめるタピオカ店だ
まだサステナブル消費は人々の生活に浸透しているとは言えないが、このように業界同士が手を結び協力することで、資源のロスを減らすことができる。消費する側も、環境と社会に優しい商品を選択肢に入れることで、少しずつ意識を変えていきたい。