廃棄食材で染めるコンバース 食品メーカーx繊維商社のサステナ提案

捨てられる食材から作った染料で染め上げたコンバースのシリーズに新色が登場

近年、日本でもサステナブルファッションが注目されている。新型コロナウイルスにより消費行動についても議論が交わされている中で、持続可能なファッションは今後さらに発展していく分野だろう。

今回は、廃棄食材を用いた染料で様々なブランドとコラボ商品を打ち出すプロジェクト「FOOD TEXTILE(フードテキスタイル)」を紹介しよう。キユーピーなどの大手食品メーカーも参加するこの取り組みは、変わりつつある大量生産・大量消費の時代に、どのような価値観を生み出すのか。

コンバースも自然の染料で優しい色合いに


ファッション業界から廃棄食材を再利用する「FOOD TEXTILE」は、プロジェクトを展開する豊島と、原料となる食材を提供する食品企業、出来上がった生地を利用して商品を生み出すコラボレーション企業の3社から成り立つプロジェクトだ。豊島は、180年以上の歴史をもつ繊維商社でサステナブル素材の開発や提供などの事業も手がけている。

オリジナル商品のほかにも国内のブランドと連携し、アパレル業界からフードロスの問題に取り組んでいる。最近発表したシリーズでは、老若男女に愛されているスニーカーブランド、コンバースとコラボした。

コンバース、FOOD TEXTILE、サステナブルファッション
8月に発売予定の新色・パープルキャペッジは、紫キャベツから作られた染料を使用している

コンバースジャパンは、環境に配慮したエコ素材を実験的に使用したシリーズ「converse e.c.lab(コンバース イーシーラボ)」を展開している。

コラボ商品の発表は2回目。今回は、アッパー素材に、ジュニパーと呼ばれるハーブや紫キャベツから抽出された染料を用いたジュニパーとパープルキャベッジの2色展開のシリーズだ。ジュニパーは、ハーブとアロマテラピー専門店「生活の木」から規格外で商品にならないものを提供してもらう。紫キャベツは、マヨネーズで有名なキユーピーからの提供だ。ソールには、リサイクルラバー入りのアウトソールとOrtholite Ecoインソールを採用。Ortholiteは、アディダスやイーグルなど多数のブランドが使用しているサステナブルなクッション材で、通気性や耐久性も兼ね揃えている。タン裏には、染料に使用した材料名がプリントされているのも、ちょっとした遊び心を感じさせる。

昨年の8月にリリースした第1弾には、ドリップコーヒーの出涸らしや規格外のハーブティー、桜の花びらを用いた3色を展開。天然染料を90%以上使用し化学染料を抑えることで、これまでのコンバースとは一味違う柔らかな色合いが好評だった。第2弾の商品は、8月からコンバース直営店、各小売店での販売が開始する。価格は、9000円。
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文=田中舞子

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