ビジネス

2020.07.22

元メルカリの2人が「グロース」領域のアップデートに取り組むワケ

Growth Campの樫田光(左)と山代真啓(右)


今の時代に必要な「プロダクト」と「マーケティング」の融合


「サービスを成功させるためには優れたプロダクトを持つことは前提ですが、それだけでは不十分になってきている。いまの時代はマーケティングとプロダクトを統合したサービスの成長戦略、つまり“グロース”という考え方が、より重要性を増してきています」(樫田)

樫田はグロースの必要性について、こう説く。プロダクトが優れていれば、自然と価値が広まっていく──これまではプロダクトが“主”であり、マーケティングは“従”という関係性にあった。それはアマゾンCEOのジェフ・ベゾスが残した言葉にも端的にあらわれている。

“In the old world, you devoted 30% of your time to building a great service and 70% of your time to shouting about it. In the new world, that inverts”

──昔は30%の時間でサービスを作り、70%の時間をその喧伝のために使った。今やそれが逆転している──

だが、ベゾスの発言から時が経ち、時代もまた変化。今の時代はプロダクトとマーケティングを切り離さず、いかに融合していけるか、が重要になってきている。

「それは単にマーケティングとプロダクトの重要度を50:50の比率で捉えるということではなく、両者がうまく融合することで大きな価値が生まれるということです。例えば、エンジニアリングの力はプロダクトチームにだけ所属しがちですが、マーケティングが持っている予算とエンジニアリングをうまく組み合わせることで、より大きなアウトカムを生み出すこともできます」(樫田)

メルカリの分析チームの責任者として、データ分析を通したプロダクト開発、CRM、事業計画・事業戦略、マーケティングなどの幅広い領域で企画立案と意思決定の支援を行ってきた経験から、マーケティングとプロダクトの融合が重要だと考えるようになったという。

また、P&Gで、消費財ブランドのマーケティングやブランディングを牽引した後、メルカリではTVCM・獲得型デジタルマーケティング・CRM等のマーケティング全般を統括した経験を持つ山代はこう語る。

「プロダクト開発への参入障壁が小さくなってきているからこそ、事業テーマとプロダクト開発だけでは勝ちにくい時代になってきていると思います。一定のマーケティング予算を投下して、市場において想起を素早く獲得することが大事になってきています。それは、メルカリで働いていても感じましたし、もっと世の中にプロダクトとマーケティングを融合させる"グロース”という概念を提唱していくべきだな、と思ったんです」(山代)
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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