外科医が教える、ビジネスパーソンが眠れない4つの理由

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もちろん、本格的な不眠症の治療については、ぜひ専門医にかかっていただきたいのですが、私は「なんちゃって不眠症」や「自称不眠症」、つまり思い込みの不眠症が非常に多いことについて注意を促したいのです。

「睡眠不足=不眠症」ではありません。スマホを触りすぎて目が冴えて眠れない、単純にコーヒーを飲みすぎて眠れない、肩こりがひどくて眠れない、不適切な時間帯に眠ろうとして眠れないといったケースは、病気としての「不眠症」ではなく、様々な原因から起きる、結果としての「不眠」です。不眠とは「眠ろうとしているのに眠れないと感じること」です。

ビジネスパーソンが眠れなくなる4つの理由


不眠を感じたら、まずは次のどれに当てはまるかを冷静に考えてみてください。

1. 悩み・不安など精神的な理由により眠れない
2. 痛み・痒みなど身体的な理由により眠れない
3. 必要以上の睡眠をとろうとするため眠れない
4. 不適切な時間帯に眠ろうとするため眠れない

3.と4.は、本書で紹介する方法で眠り方をテクニカルに調整するだけで改善されるケースが多いでしょう。2.の場合は、身体的な病気によるもの、飲んでいる薬の副作用、寝具が合っていない、ダニが布団に繁殖しているなど、さまざまな理由があります。

これらは、セルフチェックすることが難しく、原因に応じた正確な対処が必要ですので、医師や専門家への相談をおすすめします。

寝る前に考えてはいけない「悩み」とは?


さて、4つの中でも、1.の悩みや不安で眠れないという人は多いのではないでしょうか。そういう時にまず考えるべきは、「悩みや不安の原因が、自分でコントロールできる種類のものかどうか」を整理することです。

「上司の考え方が合わない」とか、「取引先がどんな反応をするかが不安」とか、「明日の株価が気になる」とか、自分ひとりではどうしようもないことで悩み始めるとキリがなく、常に不眠を引き起こす要素を抱えていることになってしまいます。

悩みや不安は、自分の行動で対処できることだけに絞り、あとは考えない。そういう割り切りが、良質な睡眠を手に入れるためのスタートになります。
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文=裴英洙

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