そんな毎日は、ビジネスパーソンの誰もが考える究極の理想形だろう。
「睡眠」は、誰にでも今日から実践できてすぐに効果が現れ、最短で「一流」に近づくための最強のビジネススキルだ。しかし、現代のビジネスパーソンの実態は、「睡眠の常識」とはかけ離れてしまっている。
『一流の睡眠』の著者、裴英洙氏は、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を活かした「ビジネスパーソンのための睡眠術」をまとめ、その必要性を同書で訴えている。今の生活スタイルを変えることなく、効率的かつ効果的に睡眠をとるための32もの「睡眠メソッド」がわかりやすく解説された一冊だ。
多忙な毎日を送りながらも、パフォーマンスの平均値が高く、ブレが小さい「一流のビジネスパーソン」になるための睡眠メソッドを、同書の一部から抜粋して公開したい。
「不眠症」と「不眠」は違う
先日、働き盛りの40代のビジネスパーソンが、外来で私にこう言いました。
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「先生、毎日なかなか眠れません。私、不眠症なんです。何とかしてください」
睡眠の悩みで病院を訪れる方のほとんどが、自ら「不眠症」だと診断していると言います。医師の診断を受ける前に、です。
不眠症とは、本人に「眠りたい」という意志があるにもかかわらず、睡眠時間が短くなったり、眠りが浅くなり体や精神に不調をきたす、睡眠障害の1つです。
医学的な定義としては、「睡眠の開始、睡眠の持続、あるいは眠りの質に繰り返し障害や不都合が認められ、眠る時間や機会が適当であるにもかかわらずこうした障害が繰り返し発生し、その結果、日中に何らかの弊害がもたらされる状態」です。
簡単に言えば「よく眠れずに次の日の生活に支障をきたす状態」です。具体的な症状としては、次の4つに分けられます。
・入眠障害:寝付きが悪く、なかなか眠れない
・中途覚醒:眠りが浅く途中で何度も起きてしまう
・早朝覚醒:早朝に目が覚めて、それ以降眠れない
・熟眠障害:長時間寝ているのに、ぐっすり寝た感じがない