公衆衛生の担当者はこのプラットフォームからデータを確認し、ウーバーに指示を与えることが可能で、特定のドライバーや乗客らを一時的にウーバーからブロックすることが出来る。
新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したウーバーの顧客は自動的に、最低14日間の間、ウーバーが利用できなくなる。
トランプ大統領や連邦政府は、検査や感染者の追跡について国としての基準を定めておらず、各州の判断に委ねている。
ここ数週間で米国の多くの州が、感染者追跡プログラムを立ち上げたが、ロイターが全米32州の取り組みを調査した結果、保健当局が有用だと考える配車サービスのデータを活用しているケースは稀だった。ライドシェアのデータは、各個人の身近なサークル以外のデータを把握できるため、感染者の追跡に有効だと考えられている。
ウーバーは今年1月に密かにこのサービスを立ち上げており、同社によると、これまで約560件のコロナウイルスに絡む要望を、29カ国の保健当局から受け取っていたという。ウーバーは米国の保健当局から158件のリクエストを受け取っていた。
ウーバーは以前から米国の法執行機関に緊急事態や犯罪捜査に絡むデータを提供しており、今年5月のガイドラインの変更で、コロナウイルスを緊急事態に含めていた。
今年4月に議会で承認されたコロナウイルス関連の予算案で、合衆国保健福祉省(HHS)に検査の拡大に向けた250億ドル(約2.7兆円)の予算が割り当てられた。
ウーバーのグローバル主任のMike Sullivanはロイターの取材に、ニュージーランドやオーストラリア、英国などでは、米国よりも統率がとれた形で、感染者の追跡が行われていると述べた。
トランプ政権は感染者追跡に否定的立場
トランプ政権は、感染者の追跡や検査の拡大に向けた予算が、議会で検討中の経済対策法案に組み込まれることを阻止しようとしている模様だ。事情に詳しい関係者らが、7月18日のワシントン・ポストの記事で証言した。トランプ政権はまた、共和党議員らが要求している米国疾病予防管理センター(CDC)やペンタゴン、米国国務省のコロナ関連の特別予算にも反対しているという。
アップルとグーグルは今年5月に、保健当局がスマートフォンのアプリを用いて感染の拡大動向を把握するためのプラットフォームを公開したが、6月のビジネスインサイダーの記事によると、これまでこのテクノロジーの活用を宣言した州は、わずか3州のみという。また、17州は感染者を追跡するアプリに反対の立場を表明していた。