ライフスタイル

2020.07.23 11:30

香港の民主化デモがアート?既成概念の外に「未来」はある

Be Water by Hong Kongers


20年9月に開催する今年のフェスティバルのテーマは、「ケプラーの庭のなかで」。まだ地動説が確立する以前に、惑星の運行法則である「ケプラーの法則」を見出した偉大な天文学者の「大転換」を起こした発想に、私たちの未来の憧れを重ねている。今回は、世界各国の都市をオンラインでつなぎ、バーチャルな庭を生み出す。「ケプラーの庭」は、世界的なロックダウンの中での新たなフェスティバルのあり方・メタファーとなる。それは、ネットワークの中に飛び込んで消えるのではなく、ネットワークの中から出現し、分散して世界各地で顕在化するフェスティバルだ。そこで「Autonomy(自治)とDemocracy(民主主義)」「EcologyとTechnology」という対抗軸の間で葛藤するこれからの社会のあり方を世界中のアーティスト・識者と議論し、Humanity(人間性)はUncertainty(不確実性)といかに共存できるか模索する。
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今回のパンデミックのような危機的な状況下ですぐれた答えを出すためには、すぐれた問いが必要だ。アート・シンキングを人類全体の免疫になるように、世界に実装したいと思う。


おがわ・ひであき◎アルスエレクトロニカ・ジャパン・ディレクター、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ共同代表。2007年よりアルスエレクトロニカのアーティスト、キュレーター、リサーチャーとして活動。社会を刺激する「触媒的」アートプロジェクトの制作、研究開発、企業・行政へのコンサルティングを数多く手がける。


Be Water by Hong Kongers
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アルスエレクトロニカが主催するコンペティション「プリ・アルスエレクトロニカ」において2020年に大賞に輝いた。受賞者は香港の民主化デモに参加する人々、すべてである。同プロジェクトを応募した“メッセンジャー”たちは「デモの中からデジタル・テクノロジーを利用した事例を集め、『デジタル・コミュニティ』として一般化すること」をミッションとしている。

SOMEONE



2020年に大賞を受賞した作品。アメリカ人のアーティストである作者はマサチューセッツ工科大学(MIT)卒。テクノロジーとアートそして、生命が混じり合う「グレーゾーン」に注目した作品を制作してきた。本作は、近未来的な「スマートホーム」を、親密さとプライバシーのあり方に光を当てる機会として用いて、自動化の未来における人間の労働の役割を問う。

Manic VR



2019年に大賞に輝いた、精神疾患「双極性障害」のVRドキュメンタリー作品。監督は双極性障害の兄妹を持つ女性だ。精神疾患は、その症状の多くが患者本人にしか知覚できない体験であることが、社会における相互理解を阻害してしまう。本作はインタラクティブなVR体験によって、双極性障害の症状・精神状態を多くの人に追体験可能なものに変えた。

BitSoil Popup Tax & Hack Campaign



2018年の大賞受賞作品。ビッグテックは世界中の人々からデータを収集している。ユーザーは多くの場合、対価を受けとらないが、ビッグテック側は巨万の富を生み出し続けている。ベルギーのアーティストによる本作は、ビッグテックへの仮想オンライン徴税システムおよび徴税キャンペーンによって、デジタル・エコノミーの不均衡を批判する。
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構成=森 旭彦

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