エアビーが注力する「オンライン体験」 トップが語った可能性とは?


画面を通して日本のお坊さんと瞑想をしたり、チェルノブイリ原子力発電所に住む野良犬の様子を見たりすることのできるオンライン体験プログラムを形にしていく過程で見えてきたのが、人が旅をすることができなくなっても、形を変えて経済を動かすことができるということ、そして、同社が提供するサービスでもっとも重要な役割を担うのが、ユーザーに旅先で人とのつながりの重要さを再認識させてくれるホストたちだということだった。

同時に、リアルな旅の体験をユーザーに提供してきた同社が、オフラインからオンラインへ移行することでもっとも苦労をしたのは、テクノロジーの面だったという。

各国のホストたちが、いかに素晴らしいアイデアやホスピタリティ精神を持っていても、自身で動画を録画することや、動画を配信することには不便を感じた人も多かったという。

ただ、一度慣れてしまえば、決してハードルの高いものではなくなる。

だからこそ、キャサリンは今後海外を自由に行き来することができるようになっても、自宅にいながら海外にいるAirbnbのホストと交流することのできるオンライン体験が、一つの旅の選択肢として定着することを確信しているという。

アスリートの経済的機会の創出


開催を目前に控えた「サマーフェスティバル」において、キャサリンが重要視している要素は二つある。

まず、同社がこれまで提供してきた人と人とのつながり生み出す機会を止めないこと。

二つ目に、オリンピック、パラリンピックの開催まで1年間という時間が空いてしまったアスリートへ経済的機会を創出することだ。

もともと、AirbnbとIOC、IPCは10年来のつながりがあったということもある。

今回の取り組みについては、オリンピック、パラリンピック期間が終了してからも、キャサリンはこの提携に継続して注力をする予定だという。

「オリンピック、パラリンピックは、アスリートたちにとって人生で最高の舞台であり続けることでしょう。ただ、今回のような未曾有な危機を経て、アスリートたちのビジネス面にも変化が起きたことは間違いありません。

サマーフェスティバルをきっかけに、アスリートたちならではのトレーニング方法や思考法を、世界中に伝える機会としてオンライン体験を根付かせることができればと思っています」



キャサリン・パウエル◎Airbnb体験部門責任者。Airbnbに入社する前は、米国フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド・リゾート、そしてフランスのマルヌ・ラ・ヴァレのクヴレにあるディズニーランド・パリなどを含む、ディズニー・パークス西部地域の社長を務めていた。2015年、オーストラリアの「Chief Executive Women」のメンバーに選出。2016年、『Profiles in Diversity Journal』紙の「注目に値する女性」賞を受賞。

文=守屋美佳 写真提供=Airbnb

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