コロナが突きつける、国と個人の「ビジョニング」とは

NEWPEACE代表の高木新平氏(左)とマザーハウス取締役副社長の山崎大祐氏(右)

新型コロナウイルスをきっかけに、これまでのロジックだけではサバイブできぬ時代を迎え、私たちは何をどう見て、考え、未来に備えたらよいのか。

企業、経済、社会。全てのフォーマットが変容を求められる未曾有の世界に対応するため、各界の識者から智恵を集結、「アフターコロナのニューノーマル」と題し、シリーズでお届けする。

今回は、マザーハウス代表取締役副社長の山崎大祐氏と、NEWPEACE代表 高木新平氏に聞く。


──今回のコロナショックは良い変容につながっていくか?

山崎大祐(以下、山崎):今までは医療崩壊を防ぐなど、目の前の課題解決に向けて走らなければならなかったが、次は未来創造をしていかなくてはならない。ここにおいてもビジョニングがとても重要で、例えば、他国では密を防ぐ対策とエコ都市のビジョンとをリンクさせて解決しようとしている。このような問題解決と未来創造をリンクさせた手法が日本でも求められる中で、この国に果たしてビジョンがあるのかという問題は痛感しています。

高木新平(以下、高木):3.11やリーマンショックなど、これまでの危機と違うと思った部分は、コミュニケーションの力関係において、今まで権力をもっていた人よりも市民たちが力をもち始めていること。これから経済格差が恐らく起こってくると思いますが、その逆側でSNSなどを駆使した大衆の反逆のようなものが起きていて、主導権が変わってきているのではないかなと思っています。その辺りがこれからポイントになるのでは。

──リーダーシップを取るためのポイントは?

高木:これまでの社会は企業主語だったものが、主導権が大衆になってきています。従っていかに大衆をエンパワーメントし、一緒にコミュニティを作っていけるかが鍵になってくる。例えば採用でも、ただ会社に雇うだけでなく、社員のキャリアプランを考えるところまでが求められていると思っていて、このように企業主語だった矢印が変わっていることを意識すべきだと思います。

山崎:これに関しては違う視点もあると思っていて、日本はここ10年間、他国に比べて雇用率や景気がとても良く、「雇用を守る日本の企業形態」が注目され始めています。そう考えると、もう一度企業が個人の上に立つ時代がくる可能性があるなとは思います。

──ニューノーマルのキーワードは?

高木:企業だけでなく、自治体なども含め、コミュニティになれるかが大事だと思っています。インバウンドなどが最たる例で、これまでは自分のコミュニティをどう盛り上げるかより、新しい人をいかに呼び込むかが重要視されてきた。でも遠くの人でなく、目の前の、コミュニティに属している人たちをいかにエンパワーメントするかに変わっていってほしいなと思います。
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文=河村優 構成=谷本有香

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