先端テック企業に聞く2025年までに世界を変える17の方法|前編

ライブなどのイベントも現実とまったく同じ体験をデジタルで提供できるようになるかもしれない(Unsplash)


3. コンピューティングの新時代


2025年までに、量子コンピューティングはその黎明期を脱し、第一世代の商用デバイスが実世界の重要な課題への取り組みに使われるようになるでしょう。この新時代のコンピューターの主な用途のひとつとなるのが、複雑な化学反応のシミュレーション。これは、新薬開発の新たな道を切り開く強力なツールとなります。量子化学計算によって、特定の特徴を持った新素材を作り出せば、例えば自動車産業で、排出量を抑制し気候変動に対抗するより優れたカタリストを生み出すこともできます。

現在、医薬品や高機能材料の開発は、作っては試すやり方が主流。何度もやり直すので時間もお金もかかります。製品開発サイクルの短縮と研究開発コスト削減に大幅に貢献する量子コンピューターは、この状況をあっという間に一変させるでしょう。

──トーマス・モンズ氏、アルパイン・クアンタム・テクノロジーズ共同創設者兼CEO

4. 食習慣による予防への医療のパラダイムシフト


2025年までに、ヘルスケアシステムにおいて、より予防的な健康へのアプローチが重視されるようになるでしょう。野菜中心で栄養豊富な食事の効用の裏にある科学は、AIとシステムバイオロジーによる技術が、特定の野菜の栄養素が人体の特定の部分にどう作用し、どういう効果を生むかという知識を飛躍的に発展させることで、次々と解明されていくことでしょう。

2020年のパンデミック後、消費者は基礎的な健康の重要性を意識し、自然な免疫力を高める、より健康的な食べ物をますます求めるようになるでしょう。世界の食品産業は、栄養学へのより深い理解を武器に、理想の健康状態をサポートするためのさまざまな製品を提供することで、その需要に応えることができます。よりレジリエントな生活のために、ヘルスケア業界は、地球上の植物に関する理解を促進し、持続可能でない犠牲を削減していくために、人々が自分自身の健康をケアすることを奨励するようになるでしょう。

──ジム・フラット氏、ブライトシード共同設立者兼CEO

5. 世界経済を強化し、命を救う5G


アマゾンやインスタカートなどの事業者が、当日配送の需要を満たすことで、配送サービスは瞬く間に急成長しましたが、そのサービスにはまだ限界がありました。しかし、5Gネットワークの普及とそれに直接連携する自律ボットがあれば、数時間以内に安全に商品を配達することができるようになります。

Wifiではここまで大容量の需要には対応できません。外出自粛によりビジネスや学校の授業がビデオ会議に移行し、ネットワークの品質の低さが問題になりました。低遅延の5Gネットワークはこの信頼性の問題を解決し、遠隔医療、遠隔手術、ERサービスなど、より大きな容量が必要なサービスも可能にします。スマートファクトリー、リアルタイムモニタリング、コンテンツ集約型でリアルタイムの処理ができるエッジコンピューティングなど、経済を加速させる技術に企業が移行するコストも相殺できます。5Gのプライベートネットワークはこれらを実現し、モバイルサービス経済を変革します。
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文=Saemoon Yoon Community Lead, Technology Pioneers, World Economic Forum Geneva

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