ビジネス

2020.07.21

コロナ後のウィーワークの行方 コワーキング業界は競争激化へ

Photo by John Keeble/Getty Images

米シェアオフィス大手ウィーワークのマルセロ・クラウレ会長は英紙フィナンシャル・タイムズに対し、大規模な人員削減やコスト削減、事業の一部売却により、同社のキャッシュフローは2021年にはプラスに転じるとの見通しを示した。

企業役員や労働者の多くは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、仕事をする場所についての再考を強いられた。ウィーワークはその恩恵を十分に受けることができるかもしれないが、この分野では激しい競争が起きるだろう。

ウィーワークの事業モデルを理解するには、大きな食料品店チェーンを想像しよう。バナナをトン単位で買い、ポンド単位で売る。バナナはすぐに売れなければ無駄になる。ウィーワークも同じだ。オフィス空間をエーカー単位で借りて、フィート単位で又貸しする。今週その空間を借りたい人がいなければ、売り上げの機会は黒くなったバナナのように朽ちてしまう。

一方で、スペースを借りるため長期的な契約を結ぶ必要のあるウィーワークの事業モデルには、スーパーマーケット以上のビジネスリスクがある。スーパーのチェーンは、バナナが売れなければ購入量を減らすことができる。しかし、オフィスの賃貸は数年単位で固定されていることが多い。不況は、ウィーワークにとって大きな脅威となるのだ。

経済が低迷すると、人員やコスト削減のため、借り手はコワーキング場所を去るか、使用スペースを縮小する。不安定な時期を乗り切るのに十分な蓄えがあれば、このビジネスモデルは合理的だ。リスクは、景気循環に大きく左右される資本財メーカーや請負業者などと同程度か、それ以下になるだろう。

この市場には、世界的な不動産会社のリージャスが所有するスペーシズ(Spaces)などの企業が既に参入している。オフィス・デポやオフィス・マックスは販売フロアの一部をコワーキング向けに作り替えているほか、地方企業の多くもこの分野で競合している。

ウィーワークは、事業規模で匹敵する競合がスペーシズしかいないため、法人顧客を確保できる。全国、あるいは世界中に従業員を持つ大企業は、多くの地方コワーキングオフィス提供企業と契約を結ぶよりも、一つの企業に絞りたいはずだ。
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編集=遠藤宗生

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