ビジネス

2020.08.01 08:00

元ファーストクラスCAが目撃した、超一流の乗客の「アイコンタクト 」

石井節子
3303

アイコンタクトは初対面での不安を取り除く


フライトではCAにとっても、ほぼすべてのお客様が初対面の方。どんなに接客に慣れていて、笑顔で対応していても、やはり最初は「このお客様はどんな方だろう」という不安は少なからずあるものです。

それを取り払ってくれるのがアイコンタクトです。目を合わせてひとこと交わすだけで、その方の人柄が伝わってきて、初対面の壁はかなり取り払われます。

逆に、目を合わせていただけないと、コミュニケーションがとりづらく、その方の感情がわからないため不安になってしまいます。例えばお飲み物をお伺いした際も、目を合わせずにオーダーされたり、寝たふりをされたりすると、お客様にとっては何の悪気もなかったとしても、「迷惑だったかな」と思ってしまうのです。

目をそらす日本人、笑顔で断る外国人


日本人のアイコンタクトの癖が顕著に感じられたのが、機内販売の商品を持ち回っていたときです。

「機内販売はいかがでしょうか?」と商品を持って機内を歩いていると、多くの日本人の方は目が合いそうになるとサッとそらされます。おそらく「買うつもりがないのに目が合ってしまったら気まずい」「薦められて断るのが気まずい」という思いからでしょう。私自身、無意識のうちにそのようにしてしまうことがあるのでよくわかります。

null
Getty Images

それが、外国人のお客様の場合は、目が合ったときもそらさずに、笑顔で「No, thank you.」とおっしゃいます。はっきりと断られているのですが、こちらの心情としては目をそらされるよりも不思議とずっと気持ちがいいのです。

もちろん機内販売を買ってくださることも嬉しいですが、アイコンタクトでお客様とささやかなコミュニケーションをとることも、とても嬉しいものです。そのことに気づいてから、私は街中でティッシュを渡されたときも、無言で会釈して断るのではなく目を合わせて笑顔で「大丈夫です」と断るようになりました。

CAが徹底的に訓練される「ラストアイコンタクト」


CAの新人訓練では、アイコンタクトの重要性をみっちりと教わります。そのなかでも効果的だと感じたのが「ラストアイコンタクト」というものです。

ラストアイコンタクトとは、何かの動作を終えたあと、最後にもう一度相手の目を見るというものです。例えばコーヒーをお出しする場合の例で説明しましょう。

null
Getty Images

1.「コーヒーでございます」とお客様の目を見て言う

2. 目線をコーヒーカップに移し、テーブルにコーヒーを置く

3. 最後にもう一度お客様の目を見て微笑む(このときに「ごゆっくりどうぞ」などの言葉を添えることもあります)

このように、2で終わってしまわずに、最後にもう一度相手の目を見るのが「ラストアイコンタクト」です。「ありがとうございました」とお辞儀をして立ち去る際も、お辞儀をしてそのまま立ち去ってしまうのではなく、もう一度顔を上げて相手の目を見て微笑むことで印象が大きく変わります。

実は私はカフェでドリンクを受け取る際などにも、どんな接客をしているのかつい観察してしまうのですが、感じのいい店員さんは必ず「ラストアイコンタクト」をされています。「ラストアイコンタクト」は接客業の人だけのものではありません。
次ページ > 相手の目をしっかり見ることで伝わるメッセージ

文=清水裕美子 編集=石井節子

ForbesBrandVoice

人気記事