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メイシーズCEOのジェフ・ジェネット(Photo by Roy Rochlin/FilmMagic)

従業員およそ3900人の削減を6月下旬に発表したばかりの米百貨店メイシーズが、経営幹部6人に総額約900万ドル(約9億7000万円)相当の株式を付与していたことが分かった。

ブルームバーグが報じたところによると、同社が証券取引委員会(SEC)に提出した書類には、ジェフ・ジェネット最高経営責任者(CEO)が7月9日、約370万ドル相当の制限付き株式を受け取ったことが記載されている。

そのほか最高法務責任者(CLO)と最高人事責任者(CHRO)を含む5人が、それぞれ35万~300万ドル相当の株式を受け取ったという。同社は毎年3月中旬にこうした報酬の支払いを行っているが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、処理が遅れていたとのこと。

企業が経営幹部への報酬を支払うタイミングが問題になるとすれば、これこそがそのいい例だろう。メイシーズは大規模なレイオフをつい先ごろ発表し、混乱を引き起こしたばかりだ。このタイミングで幹部に高額の報酬を付与することは、配慮に欠け、倫理的にまっとうな行動とはいえない。

また、同社は今年4月から幹部の一時的な給与カットを行っていたが、ブルームバーグによれば、それも7月1日で終了したという。つまり、ジェネットCEOは再び、年間約130万ドルの基本給を受け取ることになったというわけだ。

メイシーズの幹部に与えられるオプションとパフォーマンス・シェアは、以前は業績目標の達成度と結び付けられていた。だが、先ごろ幹部らに付与された株式は、同社の業績とは関係がないという。

このタイミングに関する無神経さには、ショックを受ける。企業の経営幹部は、高額な報酬を受け取るに値する人たちだろう。だが、人員が削減され、すべての従業員の先行きが不透明なときにもそうであるとは言えない。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、米司法省の関係者は、破綻した米高級百貨店ニーマン・マーカスのジェフリー・バン・レムドンクCEOとその他の幹部について、「増収に貢献したことを証明できない限り、ボーナスを受け取るべきではない」と述べているという。

メイシーズは、破綻してはいない。だが、経営が苦しいことは明らかだ。パンデミックが続くなか、ジェネットCEOは間違いなく、難しい舵取りを強いられている。その状況で必要なのは、周囲の人々のサポートだ。だが、こうした思いやりのない行動によって、それも失われつつあるだろう。

編集=木内涼子

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