ウォルマートによると、傘下の会員制量販店サムズクラブを含む同社の全米の店舗5000店あまりのうち、およそ65%が政府によってマスクなどの着用を義務づけられている地域にある。それ以外の店舗を含めて全店で対応を統一するため、20日から全店で来店者全員にマスクの着用を義務づけることにした。
同様の措置は、家電量販店のベストバイやコーヒーチェーンのスターバックスもなども導入している。
一方で、ミシガン州ランシング郊外のコンビニでは14日、マスクの着用を別の男性客から求められた男が相手を刺す事件が発生。男はその後、逃走先で警官に撃たれて死亡した。米国でマスク着用に関連したトラブルによる死者は少なくとも3人目だ。
米国ではここへきて新型コロナウイルスの感染者が再び急増している。ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、米国の感染者は19日までに370万人を超え、死者も14万人あまりに上っている。
こうしたなか、これまでに少なくとも30州が何らかのかたちでマスクなどの着用を義務づけている。ただ、その実施は多くの場合、エッセンシャルワーカーである店舗の従業員らに任せられており、ソーシャルメディアには、従業員がマスクを着けない客から怒鳴られている様子も投稿されている。
米国では、マスクの着用は感染拡大の初期に保健当局者の見解が分かれていたうえ、党派的な立場も持ち込まれたため、なかなか受け入れられない人が多い。これに対して、アジア諸国ではマスクの着用が当たり前になっており、感染者数も米国のようには急増していない。
報道によるとウォルマートは、一部の店舗では入り口に「ヘルスアンバサダー」を配置し、マスク着用のルールについて来店者への周知を図ることにしている。
ゴールドマン・サックスは、全米でマスクの着用を義務化すれば米経済の損失を1兆ドル(約107兆円)防げるとの試算を明らかにしている。