CGとリアルの境目は曖昧に コロナ禍で高まる「バーチャル」の可能性


田中:その流れは米国でも顕著ですよね。これから秋冬にかけて誰もが知っているアーティストの人たちがどんどんバーチャルライブをやる時代になると思います。新型コロナウイルスはエンターテインメント業界に大きな影響を与えましたが、長期的に見るとアーティストやパフォーマーはVRとかバーチャルを通して表現する手法が増えるので、プラスに捉えられるようになって欲しいな、と思います。


WFLEはエクスペリメンタル・ソウルバンド「WONK」との共同でフルCGバーチャルライブ「EYES SPECIAL 3DCG LIVE」を2020年8月22日(土)開催予定

グリーとしては、今後5〜10年以内にバーチャルの時代が来るということは予想していましたが、新型コロナウイルスによって2〜3年の間に来てしまう感覚があります。そういった意味では、時代や時間が早く進んでいるのは、ひとつのメリットとも言えます。例えば、Zoomも本当は10年くらいで移行していくかもしれなかったものが、実際には3ヶ月で世界中で流行してしまいましたね。

──グリーはBrave groupにも出資をされていますが、田中さんから見てVTuberやバーチャルタレントの可能性や面白さはどこにあるのでしょうか。

田中:可能性は未知数ですね。ここ2〜3年くらいで、VTuberが出現したのを知ったときに、今までのものとは違った躍動感に魅了されました。あとはスマートフォンの顔認証の技術も上がってきたりと、コストをかけずにそういうことが普及してきた時点で、新しい時代の始まりを感じてこれはくる、と思いましたね。

野口:WFLEが手がけるスマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」に弊社のコンテンツを乗せることで、より可能性は広がっていきます。また、プロモーションの一環としてVTuberを活用する大手のナショナルクライアントとの取り組みも増えているので、グリーさんが最近発表した法人向けデジタルソリューションとの連携を強化することで、新たな方向性も見えてきそうです。

田中:最近は、新しいインターネット業界のトレンドとして、「メタバース」と言われる仮想空間を使った新しい取り組みが注目されてきています。Brave Groupに出資をしたのはこのメタバースの文脈ではコンテンツの面白さが鍵になってくるからです。

VTuebrを使った番組を作る上で、人を惹きつけるストーリーやキャラクターが作れるかが、勝負の分かれ目になってくるんです。その意味で、面白いコンテンツが作れるチームがここにあると思ったので出資を決めました。

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Brave groupが運営する音楽事務所『RIOT MUSIC』にはVTuber道明寺ここあ(右)、芦澤サキ(左)が所属する
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構成=初見真菜 トップ写真=小田駿一

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