CGとリアルの境目は曖昧に コロナ禍で高まる「バーチャル」の可能性

(左)グリー代表取締役会長兼社長の田中良和 (右)Brave group代表取締役の野口圭登


CGとリアルの境目は曖昧に


──VTuberやバーチャルタレントの事業が普及していくことで、今後どのような形が「ニューノーマル」として想像できるでしょうか?どのような有用性があるのでしょうか。

野口:今回の一連の流れで、リアルな空間に行くのは最低限でいいと感じる人も一定数出てくると予想しています。例えば今は、クレア英会話という教育のチャンネルが伸びてきたんですが、オンライン教育などに進出することは十分ありうると思います。日本では塾の市場が非常に大きいですが、少子高齢化や教室というリアルな空間でのビジネスにはリスクが出てくるかもしれない。そのときに、1対Nで教えられるバーチャルの先生を作って、デジタルコンテンツを作成するというのはできそうですよね。

今はまだ、VTuberといってもその利用方法や有効性に気づいていない企業の方も多いと思うので、会社として啓蒙活動していくのにはかなり力を入れています。

特に、これまでは資金調達させていただいた資金を元に、新たなコンテンツを作っていましたが、最近では弊社50%、クライアント50%で資金を出し合い、一緒にコンテンツを作っていくというご相談も増えてきました。

田中:アバターやVTuberは流行るのかといった質問をよくされるんですが、実際にはアバターを設定したことがある人って多いと思うんです。ブラウザのGREEを使っている方はそうですし、広義で言えばSNSで実名と実際の顔写真を使わずに発信をしていれば、ニックネームを使ったりしてアバターを装着しているのと似ていますよね。

映画を観ているとわかるんですが、最近はCGとリアルの境目は曖昧になってきています。20〜30年前は、人気の映画がアニメ映画っていうのはなかったと思いますが、「君の名は」や「アナと雪の女王」などが売り上げを伸ばして業界を席巻したりとか、CGかリアルかわからないような映画も今では当たり前。実写とCGが混在しているのが当然のことになっています。

でも、ライブエンターテインメント業界を見てみるとまだまだ大半は生身の人間が中心です。昔は珍しかったアニメ映画が今や常識になってきているように、30年後はCGの人の演技やパフォーマンスはどんどん自然になってくるはず。アニメの映画業界を切り開いた人たちがいるように、自分たちもVTuber、バーチャルタレントの領域で業界を切り開いていけたらいいなと思っています。

構成=初見真菜 トップ写真=小田駿一

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