CGとリアルの境目は曖昧に コロナ禍で高まる「バーチャル」の可能性

(左)グリー代表取締役会長兼社長の田中良和 (右)Brave group代表取締役の野口圭登


──バーチャルタレントは運用が難しい側面もあると思います。

野口:その点については社内でも深く議論したのですが、やっぱり演者さんの承認欲求が満たされづらいという問題があると思っています。自分がどれだけ頑張っても“声優”として名前が出ることが少ないので、ずっとVTuberとしての自分を生きていかなければいけない。一方で声優さんはアニメのクレジットなどで名前が出ることで世の中に認知してもらえたりしますよね。

有名な声優になりたいけど履歴書に載らない。そんな状態になっていたので、Brave groupでは騒動の後に、自分たちが制作したコンテンツに関しては、一部実験的にCV(キャラクターボイス)を出すようにしました。あとは、タレントさんのマネジメントについても地方に住む声優さんのご家族に会いにいき、丁寧にご説明するなどのウェットなコミュニケーション含めて、タレントさんファーストを意識して運営しています。

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UnlimitedからBrave groupへのリブランディングを実施した

また、私たちは作品のストーリー性にもこだわっており、良い作品、良いストーリーを作ることで、タレントさんの良さをより引き出したいと思っています。そのため、Brave groupはファンの人たちを唸らせる作品をつくることにこだわって今後も取り組んでいきたいと思っています。

コンテンツの面白さが鍵になってくる


──新型コロナウイルスの影響で「エンターテイメント業界は大きな影響を受けた」という声が挙がっていますが、お二人は現状をどのようにお考えでしょうか。

田中良和(以下、田中): 新型コロナウイルスがいつ終息するのか。その見込みがいつになるのか全く予想が立たない中で、ライブのように人が集まる空間を楽しみたいニーズは増えていますが、それを提供できていないと言うのが現状です。それを踏まえて、感染リスクのない、VR空間やアバターでそういった場を創り出すことに、注目していますね。

野口:VTuberの観点で言うと、弊社実績でVTuberへの投げ銭の金額は新型コロナの影響で5倍くらいに増えています。Youtube、ライブ配信などのオンライン上で課金をしてサポートする、という新たな潮流が生まれてきているようにも思えます。
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構成=初見真菜 トップ写真=小田駿一

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