メディアが招く分断、新型コロナと向き合う歌舞伎町

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7月17日、読売新聞オンラインで公開された記事の見出しが「ホストだけが悪いと差別しないで」だった。

新型コロナウイルス感染拡大が騒がれたころから、メディアの取材が相次いでいる。私の所だけでなく、ホストクラブ関係者にはどこでも同じ状況なはずだ。感染者が増加傾向にあり、都知事から直々に「夜の街」という言葉が出ているのだから当然のことだ。だが、皆断っている。理由は簡単だ。発した言葉をどう切り取られ、どう使われるのか公開されるまで全くわからないことが多いからだ。

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(読売新聞オンラインより)

私は出来るだけ歌舞伎町の事業者達と行政が一緒に感染拡大防止をしていることを伝えようと思って、「どう切り取られるか」という不安と戦いながらも応えるようにしている。それはメディアは感染症を防ぐ力を持っていると強く信じているからだ。だからこそ、「夜の街」と分断を煽る様な質問に対しては、丁寧に返答してきた。

今回の取材でも2時間以上メディアや政治家の分断を招く言葉が感染拡大防止を遠ざけるという話をした。記事内にあるカギカッコの言葉はそういった文脈の中で確かに言った。しかし見出しの言葉は言っていない。

この見出しだけを見た人は「感染者を大量に出して何を開き直ってるんだ」と感じるはずだ。そして、更に分断を煽ることは火を見るより明らかだろう。

実際に記事公開後のSNSをみると、「開き直っている」「無責任」「そもそもホストクラブなんて営業しなければいいじゃないか」など、予想していた言葉が並んでいた(このような意見に対しては既にハームリダクションの記事で書いたので省かせてもらう)。

感染者を沢山出していることに何とも思っていない歌舞伎町の人間はいない。どうにかしなければと皆もがいている。
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文=手塚マキ

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