「蚕」を原料とした次世代食品を販売する店舗「シルクフードラボ」は、表参道の屋台村「COMMUNE」内で、2020年7月末まで期間限定でオープンしている。メニュー開発では徹底的に「おいしい昆虫食」が追求され、コクや甘みといった風味の良さが自慢の「オルタナティブミート」が完成した。
「サステナブルなのかもしれないけれど、結局は味が美味しくないのでは?」昆虫食に対してこんなイメージを抱いている人にこそぜひ実際に味わってみてほしい。「シルクフード」のおいしさの秘密と蚕文化の魅力について、開発を手がけたスタートアップ「Ellie(エリー)」の梶栗隆弘代表に話を聞いた。
「蚕の味がするけどおいしい」シルクバーガーの秘密
「お店でアンケートを取っているんですけど、味の評価に関しては予想していたよりもはるかに評判が良かったです。90%以上の方からおいしいという声をいただけました。それも『蚕の味がするけどおいしい』という意見が多かったので、それが自信になっています」
梶栗によれば、既存の昆虫食は素材の味を隠す方向性のものが多かったという。例えば昆虫を食材として使っていても、昆虫の味が際立ってしまうことを懸念して、配合率が少なく抑えられている場合もある。「シルクバーガー(1100円)」には蚕が50%配合されているが、これは昆虫を含有している商品の中で比べた場合、最高クラスの配合率だ。蚕は豆のような味で、他の昆虫に比べると圧倒的にクセが少なく、食品にしやすいといった側面もある。素材の味を活かすためにパティには塩以外は添加物なども一切入っていないという。筆者も食べてみたが、昆虫食にはつきものの臭みはなく、パティにはコクのある旨味が感じられた。
蚕を次世代食品にしていこうと、2018年に共同創業した梶栗。当初からこんな考えを持っていた。
「私が事業として昆虫食に最初に興味を持ったときは、すでにコオロギなどの昆虫食が存在していましたが、そのなかであまりおいしいと思えるものがなかったんですね。だから昆虫食を流行らせるためには、まず絶対においしいものでなければならないと思いました。さらに食品としての価値を考えてみたときに、健康に良いものでなければならないというのがポイントです」