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2020.07.19

米国の医師求人市場が新型コロナで一転 仕事を得にくい状態に

Robert Nickelsberg/Getty Images

米国ではこれまで、医師は簡単に仕事を見つけられていた。しかしこれも、新型コロナウイルスのまん延により求人市場が一転し、パンデミック(世界的大流行)中に医師の需要が減るまでの話だ。

医師派遣会社のメリット・ホーキンズ(Merritt Hawkins)はこのほど、医師や高度医療従事者の採用に関する年次レビューの2020年版を発表した。同報告書によると、病院では新型コロナウイルス感染症患者を優先するために緊急性がない処置が縮小され、安全対策と外出禁止令によって医院や診療所などの医療施設が米国全土で閉鎖された。その結果、医師は失業するか勤務時間が大幅に減っている。

メリット・ホーキンズによると、同社が病院など医師を採用する顧客の代わりに行う人材探しの業務は3月31日以降、好調だった2019年4月1日から2020年3月31日までの12カ月と比べて30%以上落ち込んでいる。

メリット・ホーキンズ、AMNヘルスケア(AMN Healthcare)のトラビス・シングルトン執行副社長は、同社の報告書とともに出された発表で、「現在失業中の(医師の)数は増えており、採用中の役割の数は限られている」と述べた。「これは前例がないことだ。新型コロナウイルス感染症は、ほんの60日で医師の求人市場を根本からひっくり返してしまった」

それでも、メリット・ホーキンズの経営陣は求人市場が改善すると考えている。将来の医師を過去最大規模で生み続ける医大附属病院や医大も同様だ。

米国医科大学協会(AAMC)は先月新たな報告書を発表し、米国では人口が増えて高齢化が進むにつれ医師不足が悪化し、2033年までに5万4000人~13万9000人が不足するようになると予想した。AAMCの報告書は、プライマリーケア(初期診療)と特殊医療の両方で今後、人材不足が起きると見込んでいる。

メリット・ホーキンズは、米国がパンデミックから回復するにつれ、医師への需要が(特に一部の専門分野で)急増すると予測している。同社の報告書は「緊急医療医や呼吸器科医、救命救急医、感染病専門医を含め、ウイルス医療の前線で働く医師の需要が、新型コロナウイルス感染症の結果上昇すると見込まれている」と述べた。

医療保険会社や医学は、患者が病気になって高額医療を受けるようになる前に医療や薬の処方を受けるよう強く求めている。そのため、プライマリーケアの医師やナースプラクティショナー(一定の診断や治療を行える上級レベルの看護師、NP)、医師助手への需要は高い状態が維持されている。

一方、メリット・ホーキンズの報告書は「医師の採用活動の多くが専門分野に向けたものとなっている」と述べている。同社によると、3月31日までの12カ月で行われた医師人材探しの業務は78%が専門医に対するもので、5年前と比べると67%高かった。また、プライマリーケアは22%を占めていた。

翻訳・編集=出田静

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