ビジネス

2020.07.18

コロナ後の米国で「韓国風フライドチキン」が絶好調の理由

Photo by Tanawat Chantradilokrat / Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、米国のレストラン業界は非常に厳しい状況に置かれているが、韓国風フライドチキンのチェーン店「ボンチョン(Bonchon)」は今、勢いに乗っている。

同社のCEOのフリン・デッカーによると、ボンチョンは年内に新たに15店舗を米国内でオープンする予定だ。レストラン業界のベテランの彼は昨年、今のポジションに就任した。

ボンチョンは今後、新たな店をカリフォルニア州やメリーランド州、オレゴン州、コロラド州、イリノイ州に開き、米国で100店舗を展開する。同社は世界9カ国で350店舗を運営中だ。

「2026年までに米国で500店舗、世界で500店舗に広げ、合計1000店舗を目指す」とデッカーは話した。

同社は初期の段階では、韓国料理が好きな独立系のオーナーたちとフランチャイズ契約を結んでいたが、新しい店の経営はこの分野のビジネスに詳しい人々に任せるつもりだ。

「いつかは自分の店が持ちたいといった気持ちで、フランチャイズ店の経営に乗り出す人々は多い。でも、私たちが求めているのは、新しいビジネスを創り上げるために必要な、プロの知見を備えた人たちだ」とデッカーは話した。

ほんの数年前まで、米国人の大半は韓国料理に関心が無かった。しかし、今や米国のほぼ全ての都市に韓国料理のレストランがあり、著名人のシェフも生まれている。アカデミー賞を受賞した映画「パラサイト」や、BTSやBLACKPINKの音楽を通じ、アメリカ人は急激に韓国のカルチャーに接近している。

そんな中で、ボンチョンはファストフードの領域で他には真似の出来ないポジションを確立したと、デッカーは話す。「提供する食事のクオリティは高く、調理スタイルもユニークで、他にはないフレーバーがある」

さらに彼はこう付け加えた。「フライドチキンが嫌いだっていう人はそう多くはないだろう。ピザと同じだ」

もちろんパンデミックの影響は大きく、今年の3月にボンチョンは非常に厳しい状況にあったという。しかし、同社は素早くピボットを行った。以前はオンライン経由の売上は全体の49%だったが、持ち帰りとデリバリーに注力した結果、夏前には全体の94%がオンライン注文になった。
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編集=上田裕資

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