マリノバ氏は、手に負えない学習課題の解決にAIを活用する方法を探るため、エンジニア、データサイエンティスト、ラーニングスペシャリストから成るチームを結成しました。その結果生まれたのが、世界初のAIを搭載したモバイル微積分チューター「アイーダ・カルキュルス」です。パーソナライズされたヒント、インタラクティブで関連性のある説明ビデオ、分析により考案された類似例を通じ、学生に段階ごとのフィードバックを迅速に提供し、解決策へと導くために構築されたものです。
時間の経過とともに、アイーダは、それぞれの学生にとっての最適なアプローチを学習します。アイーダは、アフリカの大学でパーソナライズされた学習とフィードバックを、補完し、充実させるために活用できるツールであるだけでなく、STEM労働力のスキルを強化する効果的な方法にもなりうるものです。
3.若者に最新の技術を教えるために、ストーリーテリングの文化を活用
新興技術を習得してもらうよう、次世代のアフリカの人たちを刺激するもうひとつの方法は、ストーリーテリングの文化を活用することです。
その一例として、ケニアのグラフィック・ノベル作家でありストーリーテラーのチーフ・ニャムウェヤ氏と、カナダのブロックチェーンの教育者であり投資家でもあるアン・コネリー氏とのコラボレーションがあります。
「トラスト」は、ケニアの若い女性がブロックチェーンについて学び、それを使って自分の周りの世界を変えていく物語を描いたグラフィック・ノベルです。「この本の目的は、若者にテクノロジーを紹介し、教育やトレーニングを受けられるさらなるリソースへとつなげること。目標は、100万人以上のアフリカの若者に読んでもらうことです」と、アン・コネリー氏は述べています。この本で触れられているのは基本的なことですが、リーチを広げるためアフリカ大陸全体の技術や教育のネットワークとも提携しているため、オンラインブログやその他のラーニングリソースにもつながっていく仕組みになっています。
4. 未来に備えたカリキュラム
世界経済フォーラムのレポート、「アフリカにおける仕事とスキルの未来」では、アフリカの教育者たちが、人びとの今後の働き方に合わせてデジタルおよびSTEMスキルの習得を加速させる、未来に備えたカリキュラムを設計することの重要性が強調されています。サブサハラアフリカで、4IRに関する未来のスキル開発の研究に携わるリアーン・ボスマ氏もそのことに同意しています。