燃え尽き症候群に悩まされるリーダーへ 「幸福」なくして変革は起こらない

効果的な社会変革をもたらすには芸術や文化の力が必要だ(Photo by Unsplash)


社会変革に携わる人々のウェルビーイング(幸福)が確保されて初めて、効果的な社会変革が可能になるという事例は、増え続ける一方です。第一に、自己認識力を高め、自身をより理解することで、社会起業家自身のウェルビーイング(幸福)が培われ、その結果、イノベーションやコラボレーション、創造性が向上し、好ましい波及効果が組織にもたらされます。

ウェルビーイングとウェルドゥーイングの相互依存性


シュワブ財団は、ウェルビーイング(幸福)とウェルドゥーイング(善行)の相互依存関係を認識した、最初の組織の一つです。社会起業家コミュニティ向けのメンタルヘルス関連プログラムを最初に実施し、社会変革に関わる人々に特有の葛藤について議論できる安全な場を提供してきました。

「世界をより良くするための活動により、自身の心身の健康を犠牲にするべきではありません。しかし実際には、社会変革の最前線に立つ人々にとってこういった自己犠牲は、日常茶飯事なことなのです」と、シュワブ社会起業家財団を統括するフランソワ・ボニッチは述べています。

「社会起業家が、社会が直面する地球規模課題に取り組み続けられるよう、社会起業家自身のウェルビーイング(幸福)に対して大規模な支援が必要です。10年以上前、シュワブ財団は、メンタルヘルスとウェルビーイング(幸福)に関する最初の調査を実施し、長年にわたり積極的にピアサポートの場を提供してきました。特に社会変革の取り組みにおける持続可能性を重視するならば、このような取り組みが今まで以上に重要になると認識しています」

スコール、インディア・デベロップメント・レビュー、スタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビューといった、社会起業家精神を支援する他団体と共に、シュワブ財団は「ウェルビーイング・シリーズ」を通じて、世界的なムーブメントを推進しています。その要諦は、起業家精神の人間的な側面を支援することで、社会変革の可能性を引き出す、というもの。

このムーブメントの一環として、ウェルビーイング(幸福)と根本的な社会変革の、不可分ながらしばしば見落とされがちな関係性について探るべく、一連の考察記事が発行される予定です。個人や組織、さらに社会におけるウェルビーイング(幸福)やウェルドゥーイング(善行)をより大きく育てたいと考えている、社会変革セクターに関わる全ての人々のリソースとして活用してもらうことが狙いです。

「社会起業家にとって、本来の目的を果たし、より大きなインパクトを与えるためには、感情面、精神面で自分自身をケアすることが非常に重要です」 ──ルヴヨ・ラニ(Silulo Ulutho TechnologiesのCEO。シュワブ財団より優れた社会起業家として表彰)
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文=Pavitra Raja, Community Specialist, Social Entrepreneurs - Europe and the Americas, World Economic Forum

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