・社会起業家の多くが燃え尽き症候群に苦しみ、そのポテンシャルを十分に発揮できずにいます。
・シュワブ財団は「ウェルビーイング・プロジェクト」と協働して、ウェルビーイング(幸福)と社会変革の、不可分ながらしばしば見落とされがちな関係性について調査しています。
・このプロジェクトは、世界経済フォーラムのカルチュラルリーダーたちの意見を活かし、社会変革推進のため感情と知性に訴えかけるアーティストの役割について検証しています。
自身のウェルビーイングを後回しにしがちな社会起業家
社会起業家は、特に従来の市場や関係機関がうまく機能していない分野において、既存のサービスの創造的破壊者ともいえる存在です。シュワブ財団のコミュニティの社会起業家だけでも、190以上の国々で6億2200万人の生活にインパクトを与えてきた様子が、 シュワブ財団インパクト・レポートに記載されています。
社会起業家は世界の最も切迫した問題に取り組んでいますが、多くの場合、慢性的に資金が不足した環境下で、極度のプレッシャーの中で働いています。世界で最も弱い立場にあり、疎外され、社会の進歩から取り残された人々のニーズに応えようと取り組んでいるため、社会起業家やそのスタッフは、自分自身のウェルビーイング(幸福)を、対照的にささいなものに感じ、後回しにしがちなのです。
その結果、高確率で燃え尽き症候群が発生し、深刻なメンタルヘルス上の問題を抱えたり、個人的な人間関係が破綻したりして、組織や社会変革セクター全体に深刻な影響を与えています。
この数字が、特に大きな成果を上げて「最も成功を収めた」社会起業家の話だということを鑑みると憂慮すべきものです。とはいえ、驚くほど意外なことではありません。
「社会的弱者の人々を代表して切迫した問題に取り組む、社会起業家の献身的な姿勢と人間性は、私たちに勇気を与えてくれます。とはいえ、社会起業家の道は孤独で、他者のニーズやトラウマに向き合っている分、社会起業家自身のウェルビーイング(幸福)は、しばしば忘れられがちです。シュワブ財団は、社会起業家のウェルビーイング(幸福)を常に最優先に考えてきました。特にこの激動の時代の中で、その姿勢を今後も大切にしていきます」 ──ヒルデ・シュワブ(シュワブ社会起業家財団 共同創設者兼理事長)