パンデミックからの経済回復、カギとなるのは恐怖心の克服

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新型コロナウイルスのパンデミックに起因する景気低迷は、私たちがこれまでに経験してきた景気低迷とは様相が異なる。最初のダメージは前触れもなく起こった。高い水準にあった米国の就業者数が、一瞬で最低レベルに落ち込んだこともそのひとつだ。回復までには長い時間を要するだろう。元に戻るまでは3段階を経ることとなるが、現在の様子を見ると、私たちはいま、第2段階のどこかにいるようだ。

世界を見回すと、はじめに苦境に立たされたのは、シャッターを閉ざして休業した小規模ビジネスだった。その次に打撃を受けたのは、旅行客に依存するビジネスや、大勢が集まるリゾートやクルーズ船、劇場などの業界だ。そしていまや、経済全体が厳しい状態にある。損害がどこまで拡大するのかは誰にもわからない。

原油やエネルギー価格も景気低迷の影響を免れず、その回復までの道のりも同じように3段階に分かれている。価格(と需要)は、ロックダウン(都市封鎖)が発令されてから最初の2カ月で急落したが、経済が再開してからは若干持ち直している。とはいえ、ガソリンやジェット燃料、ディーゼルをはじめとする原油製品の需要が着実に伸びているとは言い難く、電力需要も落ち込んだままだ。原油とエネルギーの価格については、経済の回復が当てにならないため、今後も変化しやすく不安定な状態が続くだろう。

こうした稀に見る特殊な景気低迷から回復する道は、次の3段階に分かれている。

1.政府による自宅待機命令と休業命令からの回復
2.ウイルスに対する恐怖心の克服
3.経済的な打撃からの回復

世界では、ほとんどの地域でロックダウンや規制が解除されつつある。米国では、州や自治体によって規制に差がある。ここ最近は、新型コロナウイルス感染者が再び拡大していることを受けて、米国やインドなどでは、規制を再び強化することが議論されている。その一方で、米国では現在、レストランの店内で飲食したり、友人と会食したりできないところもまだあるとはいえ、人々は自由に外出できるようになった。ヨーロッパやほかの国々も総じて、規制を完全に解除する方向へと向かっている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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